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液晶を支える要素技術

「液晶の進化」を支えてきた技術の一つとして「周辺技術」も見逃せません。実際のセットを組み立てていく上で、液晶の周辺にある要素技術は重要な働きをしています。液晶ディスプレイの性能向上に役立っている要素技術をご紹介します。

イメージ: 液晶の周辺にある要素技術

TFT液晶パネルの構造

カラー液晶ディスプレイは液晶を配向膜、ガラス、偏光板で挟んだ構造になっており、カラーフィルターを通して鮮明な画像を得るために、背後からバックライトを照射します。また、液晶を挟むガラスとガラスのギャップは数ミクロンであり、ギャップを正確に保つため透明なスペーサー(ビーズ)が必要です。

TFT液晶パネルの構造

カラーフィルター技術

フルカラー表示を実現するRGBの「カラーフィルター」の製造にも、さまざまな工夫がなされています。カラーフィルター方式は、電極基板の片側にR (赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルターを設けます。カラーフィルターは、RGBのすべてを点灯したいとき、加法混色による白色が明るく、鮮やかなカラーを再現でき、作りやすい形態であることが重要です。

各カラーフィルターの形成方法
方式名 概略図 特長
解像度 色特性 信頼性
ゼラチン染色方式
  パターン化した樹脂を染色する
顔料含散方式
  顔料を含んだ樹脂をパターン化する
印刷方式
  顔料を含んだ着色インクを印刷する
×
電気鍍金方式
  顔料表面に樹脂コートを電気鍍金する

LSI技術と実装技術

表示容量が大きくなるにつれて液晶セルの端子数が増え、駆動するLSIにも、80ピンから100、160ピンといった多出力の端子が求められています。また、OA機器の小型化、薄型化、軽量化と、電卓や電子システム手帳などハンディ機器の高機能化、大画面化に伴い、液晶パネルの縁を薄くし、有効表示面積を大きくする液晶ドライバが実用化されています。
LSI技術そのものとあわせ、回路基板を形成する「実装技術」の進歩も求められています。それらのひとつ、TAB(Tape Automated Bonding)方式は、100〜160 にも及ぶ端子を持つLSIを、基板にテープで貼るように圧着するもので、システムの小型化、薄型化を実現する製造技術として注目されています。また、液晶パネル基板上にLSIを実装するCOG(Chip On Glass)方式も、商品化されています。

バックライト技術

液晶自体は発光しないため、外部光源が必要です。
電卓などのモノクロ表示では、自然光を反射させる「反射板」が用いられ、液晶テレビなどのカラー表示には「バックライト」が利用されます。
車載用ディスプレイなどでは、この二つの方式を融合し、外が明るいときは反射板、暗くなるとバックライトを用いる「半透過タイプ」も開発されています。

低反射LCD技術

従来の液晶画面は、外光の影響を受けやすく、明るい場所での視認性に難点がありました。低反射液晶は、1)フロントカバーに反射防止コート(ARコート)を施し、2)ブラックマトリックス部に反射率の低い素材を採用し、明るい屋外でも外光の影響を受けにくくなり、見やすさが向上しました。

図: 低反射LCD技術概念図