ホーム > シャープについて > 技術情報 > 液晶の世界 > 液晶ディスプレイの原理と技術 > 液晶ディスプレイの構造と作り方

液晶ディスプレイの構造と作り方

ここでは、単純マトリックスを例にとって液晶ディスプレイの構造と、液晶の材料、および作り方を説明します。

液晶ディスプレイの構造

サンドイッチのような構造

カラー液晶ディスプレイの構造は、それぞれの構成要素がサンドイッチのように層状になっています。

1.偏光フィルター

出入りする光をコントロールする。

2.ガラス基盤

電極部からの電気がほかの部分に漏れないようにする。

3.透明電極

液晶ディスプレイを駆動するための電極。表示の妨げにならないよう透明度の高い材料を使う。

4.配向膜

液晶の分子を一定方向に並べるための膜。

5.液晶

6.スペーサー

液晶物質をはさむ2枚のガラス基板に、均一なスペースを確保する。

7.カラーフィルター

RGBのそれぞれのフィルターをかけ、色を表示する。

8.バックライト

ディスプレイの背後から光を当て、画面を明るくする。
モノクロ表示の液晶ディスプレイでは、これの代わりに「反射板」を使い、自然光で見えるようにしてあるものもある。

イメージ: 液晶ディスプレイの構造

液晶ディスプレイの作り方

液晶材料(母材)
エステル系 / ビフェニル系 / PCH系(フェニルシクロヘキサン) / シクロヘキサン系 / フェニルピリジミン系 / ジオキサン系 etc.
材料のブレンド
ブレンドのねらい ブレンドする液晶材料
要求性能のポイント目的
電圧駆動電圧を小さくする。
(電池駆動用など)
・P-エステル系
・P-ビフェニル系
温度・高温環境に耐える。
・安定して作動する温度範囲を広くする。
(自動車、航空機、列車用など)
・三環系
・四環系
(高温に耐える。)
粘度応答性をよくする。
(動画用など)
・PCH系
・エタン系
・ビフェニル系
屈折率色調を合わせて、最も鮮やかな「白」を得る。・PCH系
(屈折率小)
・ビフェニル系
(屈折率大)
弾性電圧をかけたときの立ち上がり特性をよくする。(高いコントラストが得られる。)
(母材の性能による)

液晶材料のブレンド

液晶材料は、さまざまな種類の母材に別の材料をブレンドし、求める性能を得るようにしています。たとえば車載用のディスプレイは、オフィスや家庭用と異なって、熱や振動などの厳しい環境条件に耐える必要があります。こうしたそれぞれの用途に応じた要求に適合するように、液晶材料を調合するのです。

イメージ: 液晶セルの製造工程

液晶セルの構造、セットの組立て

まず電極部を形成し、配向膜、スペーサーなど外枠を組立てます。その中に液晶材料を注入して「セル」と呼ばれる単位を製作します。出来上がったセルと外部素子(LSIなど)を接続したあと、最後にセットを組立てます。