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水虫菌にプラズマクラスター

プラズマクラスター技術で白癬菌(通称水虫菌)の抑制効果があるという実証結果が発表されたことをご存知ですか?知っているようで知らない水虫について、実証試験に携わっていただいた千葉大学の矢口貴志准教授にお話を伺いつつ、プラズマクラスター技術についてご紹介します。

千葉大学の矢口貴志准教授

水虫菌について

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そもそも、水虫菌とは?

通称水虫菌と呼ばれているのは、カビの一種である「白癬菌(はくせんきん)」のこと。この「白癬菌」が皮膚の角質層に感染し、増殖して水虫の原因になるのです。日本国内で感染する水虫菌は、Trichophyton rubrum(トリコフィトン・ルブルム)とTrichophyton mentagrophytes(トリコフィトン・メンタグロフィテス)という2種類で、約90%を占めています。

菌イラスト
千葉大学の矢口貴志准教授
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5人に1人が水虫に悩んでいる?

実は水虫は、非常に身近な感染症のひとつで、5人に1人が感染しているという報告もあります。また、年齢が上がるに従って感染者数が増加する傾向にあります。水虫と聞くと、一般的には“おじさんの病気”と思われがちですが、女性の感染者も意外と多く、パンプスやブーツを長時間履くことから最近では若い女性の間にも感染者が増えており、現在では男女間の感染率に差はないと言われています。

5人に1人は水虫に感染

5人に1人が水虫に感染
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水虫はうつるの?

水虫の原因である白癬菌は菌糸や胞子の状態で存在すると考えられ、高温多湿の環境で増殖します。濡れたバスマットや蒸れた靴の中などが菌にとっては好環境で、例えば家族に水虫に感染している人がいると、お風呂場に置かれたバスマットを通じてまだ感染していない家族にうつります。また、水虫の感染した人が素足で歩いたりすると、菌が付着した皮脂や角質片が歩いた場所に落ち、感染源が広がる可能性もあります。

濡れたバスマットは菌にとって好環境
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うつらないようにするには?

まず、身近に水虫に感染した人がいる場合はその人の水虫治療を行なってください。また、感染者の素足が触れる場所を常に清潔に保つことも重要で、バスマットをこまめに洗濯する方がいいでしょう。感染者とはバスマットやスリッパを分けることも有効です。
また、菌は皮膚に付着してから約24時間程度で感染するので、毎日足を指の間までしっかり洗ったり、菌が蒸れた環境で増殖することから、なるべく長時間靴を履き続けないことも重要です。

こまめに洗濯
コラム

あなたも水虫かも?

自覚症状がなくても、水虫にかかっていることがあります。

水虫というと、痒くなるイメージが一般的ですが、実はかゆみが出ない水虫の症状があることをご存知ですか?
水虫には趾間型、小水疱型、角質増殖型の3つのタイプがあり、それぞれ症状が異なります。

趾間型しかんがた

指の間の皮がむけ、白くふやけ、ジクジクして湿っているタイプです。水虫の中では最も多くみられます。

趾間型

小水疱型しょうすいほうがた

足の裏やその周囲に小さい水泡ができ、かゆみを伴うこともあります。雨の多い梅雨の時期や秋に多くみられます。

小水疱型

角質増殖型かくしつぞうしょくがた

足の裏全体、特にかかとの皮膚が乾燥し、硬くなり、冬場にはひび割れを生じることもあります。

角質増殖型
症例写真:きさらづ皮膚科クリニック高橋先生 提供

プラズマクラスター技術による試験結果

シャープは、カビ研究の専門家である千葉大学真菌医学研究センター矢口准教授の監修の下、
カビ試験装置※1(プラズマクラスターイオン濃度約20万~90万個/cm³)において、
プラズマクラスター技術が国内で感染する水虫菌の約90%を占める2種類の白癬菌※2に対して抑制効果を有すること、
また菌の「胞子」に加えて「菌糸」に対しても抑制効果を発揮することを実証しました。

白癬菌の生活環

白癬菌の生活環

白癬菌に限らず一般にカビは、土、埃などの中では胞子の状態で生息している。温度、湿度などの条件が揃うと発芽し、菌糸を伸ばす。さらに菌糸の先端もしくは側面に胞子を形成し、その胞子が飛散し、別の場所に移動する。胞子の方が菌糸よりも、外部からの乾燥、熱などの刺激に耐性があり、寿命は長い。白癬菌は、感染源と考えられるバスマットでは、胞子、菌糸の断片で生存している。

  • ※1内寸285×275×485mmのアクリル製容器の検証装置。
  • ※2Trichophyton rubrum(トリコフィトン・ルブルム)、Trichophyton mentagrophytes(トリコフィトン・メンタグロフィテス)の2種類の白癬菌で試験を実施。2011年度皮膚真菌疫学調査報告(日本医真菌学会疫学調査委員会)より。

●試験委託機関:千葉大学 真菌医学研究センター ●試験空間:内寸285×275×485mmのアクリル製容器内 ●検証装置:プラズマクラスターイオン発生素子(容器内上面に取付) ●プラズマクラスターイオン濃度:試験容器内約200,000~900,000個/cm³ ●対照試験:上記装置のイオン発生なしとの比較 ●検証白癬菌種類:Trichophyton rubrum(トリコフィトン・ルブルム)、Trichophyton mentagrophytes(トリコフィトン・メンタグロフィテス)

プラズマクラスター技術による白癬菌に対する抑制効果の試験結果

試験結果12種類の白癬菌に対する効果試験

プラズマクラスターイオンは2種類の白癬菌に対し99.9%以上の抑制効果があることを実証。

試験方法:供試菌の胞子懸濁液を培地上に撒き、検証装置内でプラズマクラスターイオンを24時間照射した後、3~4日培養し、生育したコロニー数をカウントした。プラズマクラスターイオン発生素子と培地との距離は12㎝(プラズマクラスターイオン濃度約90万個/cm³)。

トリコフィトン・ルブルム

トリコフィトン・ルブルムのプラズマクラスターイオンありなし比較

プラズマクラスターイオンなし:コロニー数 1.28×10³
プラズマクラスターイオンあり:コロニー数 検出されず
抑制率:99.9%以上

トリコフィトン・メンタグロフィテス

トリコフィトン・メンタグロフィテスのプラズマクラスターイオンありなし比較

プラズマクラスターイオンなし:コロニー数 1.67×10³
プラズマクラスターイオンあり:コロニー数 検出されず
抑制率:99.9%以上

試験結果2「胞子」に対する効果検証

試験開始時に比べてプラズマクラスターイオン照射なしの時は、胞子が発芽して菌糸の伸長がみられ、全体に膨張している。それに対してプラズマクラスターイオン照射ありの時は試験開始時から大きな変化がなく、胞子の発芽が見られないことから、プラズマクラスターイオンにより「胞子の発芽」が抑制されていることがわかる。

試験方法:供試菌の胞子懸濁液を培地上に撒き、検査装置内でプラズマクラスターイオンを24時間照射した後、胞子の発芽抑制効果を顕微鏡で観察した。プラズマクラスターイオン発生素子と培地との距離は12㎝(プラズマクラスターイオン濃度約90万個/cm³)。

試験開始時

試験開始時

プラズマクラスターイオン照射なし

プラズマクラスターイオン照射なし

胞子が発芽し、菌糸の伸長がみられる

プラズマクラスターイオン照射あり

プラズマクラスターイオン照射あり

胞子の発芽はみられない

試験結果3「菌糸」に対する効果試験

試験開始時に比べてプラズマクラスターイオン照射なしの時は、著しい菌糸の伸長が見られる。それに対してプラズマクラスターイオン照射ありの時は、菌糸の長さが試験開始時とほぼ同じであることから、プラズマクラスターイオンにより「菌糸の伸長」が抑制されていることがわかる。

試験方法:供試菌の胞子懸濁液を培地上に撒き、1日培養し、発芽および菌糸の伸長を確認。その後、検査装置内でプラズマクラスターイオンの照射の有無で、24時間経過後の菌糸の伸長抑制効 果を顕微鏡で観察した。プラズマクラスターイオン発生素子と培地との距離は12㎝(プラズマクラスターイオン濃度約90万個/cm³)。

試験開始時

試験開始時

プラズマクラスターイオン照射なし

プラズマクラスターイオン照射なし

菌糸の伸長がみられる

プラズマクラスターイオン照射あり

プラズマクラスターイオン照射あり

菌糸の伸長はみられない

試験結果4プラズマクラスターイオン濃度依存性効果試験

以下の通り、プラズマクラスターイオンの濃度が高くなるほど白癬菌に対する抑制効果が高まることを実証。

試験方法:供試菌の胞子懸濁液を培地に敷き、検証装置内でプラズマクラスターイオンを3時間照射した後、4日培養し、生育したコロニー数をカウントした。プラズマクラスターイオン発生素子と培地との距離は12cm、18cm、24cm(それぞれプラズマクラスターイオン濃度約90万個、約42万個、約20万個/cm³)とした。

プラズマクラスターイオン濃度と抑制率

プラズマクラスターイオン濃度と抑制率グラフ
コメント

水虫は、白癬菌と言う皮膚糸状菌(カビ)が皮膚の角質層に感染して発症します。夏場になると長時間靴を履くことで中が高温多湿となり、白癬菌が増殖し水虫の症状が出ます。
白癬患者の家庭の脱衣所等の素足が触れる場所では、ほぼ100%白癬菌が存在すると言われており、家族にうつさないためにはその場所を常に清潔に保つ必要があります。
今回、プラズマクラスター技術により、白癬菌の胞子の発芽抑制効果に加えて菌糸の伸長抑制効果も確認されたことで、実環境においても抑制効果を発揮する可能性があります。


千葉大学 真菌医学研究センター 微生物資源分野 バイオリソース管理室長

矢口 貴志 准教授

白癬菌を含む真菌(カビ)に関する著書、論文多数。
「Hubka V, Yaguchi T, et al.
Unravelling species boundaries in the Aspergillus viridinutans complex (section Fumigati): opportunistic human and animal pathogens capable of interspecific hybridization. Persoonia 41: 142–174, 2018. 」など。
矢口貴志 准教授

プラズマクラスター技術について

プラズマクラスター技術は、シャープの画期的な空中浄化方法

従来の空気浄化技術では空気を製品に吸い込み、ホコリや菌をフィルターで除去してきれいな空気にして外に出すというものでした。それだと吸い込まれなかった空気、また壁や家具に付着した菌や臭いに対しての効果は非常に薄いものでした。
一方、プラズマクラスター技術では、プラズマクラスターイオンを外に飛ばすことによって、壁や家具に付着した臭いや菌に対しても効果を得ることができるというのが特徴となります。

プラズマクラスターイオンの空中浄化イメージ

(イメージ図)

浮遊菌の活動抑制メカニズム

プラスイオン(H⁺(H₂O)m)とマイナスイオン(O₂⁻(H₂O)n)を同時に空中へ放出し、浮遊する細菌・カビ・ウイルス・アレルゲンなどの表面で瞬間的にプラスイオンとマイナスイオンが結合して酸化力の非常に高いOH(水酸基)ラジカルとなり、化学反応により細菌などの表面のタンパク質を分解して、その働きを抑制する独自の空気浄化技術です。

メカニズムイメージ

プラスイオンとマイナスイオンが浮遊菌の表面に付着し、OHラジカルに変化。

メカニズムイメージ

OHラジカルが表面のタンパク質から水素を抜き取り、タンパク質を分解。

メカニズムイメージ

細胞膜が破壊され、浮遊菌の活動を抑制する。

(イラストはイメージです)

「プラズマクラスター技術」による浮遊カビや浮遊菌の作用抑制メカニズム

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