シャープは、カビ研究の専門家である千葉大学真菌医学研究センター矢口准教授の監修の下、カビ試験装置※2(イオン濃度約20万~90万個/cm3)において、プラズマクラスター技術が国内で感染する水虫菌の約90%を占める2種類の白癬菌※3に対して抑制効果を有すること、また菌の「胞子」に加えて「菌糸」に対しても抑制効果を発揮することを実証しました。
水虫は、国内で5人に1人が感染しているとの報告※4もあるように、非常に身近な感染症のひとつです。脱衣所のバスマットなどから多く感染し、年齢が高くなるにつれて感染者数が増加する傾向にある一方、近年ではパンプスやブーツを長時間履く若い女性の感染者も増加しつつあります。
2018年、当社はプラズマクラスターによる一般家庭で繁殖するカビの約80%を占める5種類のカビへの生育ステージ別の抑制効果を実証※5しましたが、今回、白癬菌の生育ステージのうち「胞子」と「菌糸」の状態に対しての抑制効果を実証しました。
当社は、2000年よりプラズマクラスター技術の効果を世界の第三者試験機関と共同で実証するアカデミックマーケティング※6を進め、これまで多数の第三者試験機関で「新型インフルエンザウイルス」「薬剤耐性細菌」「ダニアレルゲン」などの有害物質の作用抑制や、小児喘息患者の気管炎症レベルの低減効果※7などの臨床効果を実証。併せて、プラズマクラスターの安全性についても確認※8してまいりました。今後も、プラズマクラスター技術によるさまざまな実証を進め、社会に貢献してまいります。
(1)2種類の白癬菌に対する効果試験
供試菌の胞子懸濁液を培地上に撒き、検証装置内でプラズマクラスターイオンを24時間照射した後、3~4日培養し、生育したコロニー数をカウントした。イオン発生素子と培地との距離は12㎝(イオン濃度約90万個/cm3)。
(2)「胞子」に対する効果試験:白癬菌(トリコフィトン・ルブルム)が胞子の状態での評価
供試菌の胞子懸濁液を培地上に撒き、検査装置内でプラズマクラスターイオンを24時間照射した後、胞子の発芽抑制効果を顕微鏡で観察した。イオン発生素子と培地との距離は12㎝(イオン濃度約90万個/cm3)。
(3)「菌糸」に対する効果試験:白癬菌(トリコフィトン・ルブルム)が菌糸の状態での評価
供試菌の胞子懸濁液を培地上に撒き、1日培養し、発芽および菌糸の伸長を確認。その後、検査装置内でプラズマクラスターイオンの照射の有無で、24時間経過後の菌糸の伸長抑制効果を顕微鏡で観察した。イオン発生素子と培地との距離は12㎝(イオン濃度約90万個/cm3)。
(4)イオン濃度依存性効果試験(トリコフィトン・ルブルム)
供試菌の胞子懸濁液を培地上に撒き、検査装置内でプラズマクラスターイオンを3時間照射した後、4日培養し、生育したコロニー数をカウントした。イオン発生素子と培地との距離は12㎝、18㎝、24㎝(それぞれイオン濃度約90万個、約42万個、約20万個/cm3)とした。
(1)2種類の白癬菌に対する効果試験
下表の通り、プラズマクラスターイオンは2種類の白癬菌に対し99.9%以上の抑制効果があることを実証。
菌種 | イオンなし(コロニー数) | イオンあり(コロニー数) | 抑制率 |
---|---|---|---|
①トリコフィトン・ルブルム | 1.28×103 | 検出されず | 99.9%以上 |
②トリコフィトン・メンタグロフィテス | 1.67×103 | 検出されず | 99.9%以上 |
(2)「胞子」に対する効果検証
試験開始時に比べてイオン照射なしの時は、胞子が発芽して菌糸の伸長がみられ、全体に膨張している。それに対してイオン照射ありの時は試験開始時から大きな変化がなく、胞子の発芽は見られないことから、プラズマクラスターイオンにより「胞子の発芽」が抑制されていることがわかる。
試験開始時 | イオン照射なし | イオン照射あり |
---|---|---|
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胞子が発芽し、菌糸の伸長がみられる | 胞子の発芽はみられない |
(倍率x400)
(3)「菌糸」に対する効果試験
試験開始時に比べてイオン照射なしの時は、著しい菌糸の伸長が見られる。それに対してイオン照射ありの時は、菌糸の長さが試験開始時とほぼ同じであることから、プラズマクラスターイオンにより「菌糸の伸長」が抑制されていることがわかる。
試験開始時 | イオン照射なし | イオン照射あり |
---|---|---|
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菌糸の伸長がみられる | 菌糸の伸長はみられない |
(倍率x400)
(4)イオン濃度依存性効果試験
以下のグラフの通り、プラズマクラスターイオンの「イオンの濃度」が高くなるほど白癬菌に対する抑制効果が高まることを実証。
イオン濃度(個/cm3) | イオンなし(コロニー数) | イオンあり(コロニー数) | 抑制率 |
---|---|---|---|
20万 | 600 | 225 | 63% |
42万 | 146 | 76% | |
90万 | 28 | 95% |
プラスイオン(H+(H2O)m)とマイナスイオン(O2-(H2O)n)を同時に空中へ放出し、浮遊する細菌・カビ・ウイルス・アレルゲンなどの表面で瞬間的にプラスイオンとマイナスイオンが結合して酸化力の非常に高いOH(水酸基)ラジカルとなり、化学反応により細菌などの表面のたんぱく質を分解して、その働きを抑制する独自の空気浄化技術です。
対象 | 実証機関 |
---|---|
臨床試験による効果実証 | 東京大学大学院 医学系研究科 / (公財)パブリックヘルスリサーチセンター |
中央大学理工学部 / 東京大学 医学部附属病院 臨床研究支援センター | |
(公財)動物臨床医学研究所 | |
(株)総合医科学研究所 | |
東京工科大学 応用生物学部 | |
HARG治療センター 株式会社ナショナルトラスト | |
ジョージア 国立結核病院 | |
ウイルス | (財)北里環境科学センター |
韓国 ソウル大学 | |
中国 上海市予防医学研究院 | |
(学)北里研究所 北里大学メディカルセンター | |
イギリス レトロスクリーン・バイロロジー社 | |
(株)食環境衛生研究所 | |
インドネシア インドネシア大学 | |
ベトナム ベトナム国家大学ハノイ校工科大学 | |
ベトナム ホーチミン市パスツール研究所 | |
アレルゲン | 広島大学大学院 先端物質科学研究科 |
大阪市立大学大学院 医学研究科 分子病態学教室 | |
カビ | (一財)石川県予防医学協会 |
ドイツ リューベック大学 | |
ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授 | |
(一財)日本食品分析センター | |
(株)食環境衛生研究所 | |
中国 上海市予防医学研究院 | |
(株)ビオスタ | |
千葉大学 真菌医学研究センター | |
細菌 | (一財)石川県予防医学協会 |
中国 上海市予防医学研究院 | |
(財)北里環境科学センター | |
(学)北里研究所 北里大学メディカルセンター | |
米国 ハーバード大学公衆衛生大学院 名誉教授メルビン・ファースト博士 | |
(公財)動物臨床医学研究所 | |
ドイツ リューベック大学 | |
ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授 | |
(一財)日本食品分析センター | |
(株)食環境衛生研究所 | |
タイ 胸部疾病研究所 | |
(株)ビオスタ | |
ニオイ・ペット臭 | (一財)ボーケン品質評価機構 |
美肌 | 東京工科大学 応用生物学部 |
美髪 | (株)サティス製薬 |
(有)シー・ティ・シージャパン | |
ストレス度合いと集中度合い | (株)電通サイエンスジャム |
ウイルス・カビ・細菌の作用抑制効果メカニズム | ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授 |
アレルゲンの作用抑制効果メカニズム | 広島大学大学院 先端物質科学研究科 |
肌保湿(水分子コートの形成)効果メカニズム | 東北大学 電気通信研究所 |
※こちらのページに記載されている内容は、報道発表日時点の情報です。ご覧になった時点で、内容が変更になっている可能性がありますので、あらかじめご了承下さい。
<千葉大学 真菌医学研究センター 准教授 矢口 貴志(やぐち たかし)氏のコメント>
水虫は、白癬菌と言う皮膚糸状菌(カビ)が皮膚の角質層に感染して発症します。夏場になると長時間靴を履くことで中が高温多湿となり、白癬菌が増殖し水虫の症状が出ます。
白癬患者の家庭の脱衣所等の素足が触れる場所では、ほぼ100%白癬菌が存在すると言われており、家族にうつさないためにはその場所を常に清潔に保つ必要があります。実環境では、白癬菌は菌糸や胞子の状態で存在すると考えられます。
今回、プラズマクラスター技術により、白癬菌の胞子の発芽抑制効果に加えて菌糸の伸長抑制効果も確認されたことで、実環境においても抑制効果を発揮する可能性があると期待されます。