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開発者インタビュー

PC-MT1

開発メンバーのご紹介
シャープ株式会社 情報システム事業本部 A1216プロジェクトチーム 主事
青木 芳和 氏
開発チームのこだわりが、この薄さに凝縮されています。
シャープ株式会社 情報システム事業本部 パソコン事業部 商品企画部
澤近 京一郎 氏
今後もモバイルでの用途が広がるような商品を企画していきます。
インタビュー
自分の作りたかったパソコンがついに形になった。商品企画担当者のこだわりが実現した“モバイルコンシャス”の2つの方向性。
- まず最初に、商品の企画・開発にあたってそれぞれ一番こだわった部分を教えてください。
青木 PC-MT1は“薄さ”と“軽さ”にこだわって開発しました。私自身、社内での打合せや移動、出張の際など日常的にモバイルパソコンを利用しますが、1ユーザーとしてとにかく、持ち運びしやすいように薄く軽くカバンにおさめたいという気持ちが強かったんですね。それで今回、PC-MT1の商品企画を担当するにあたり、その点を一番の開発目標にしました。
澤近 同じモバイルでも、私の方は持ち運ぶ時のコンパクトさと、外出先で時間を気にせずガンガン使えるバッテリーの持ち時間が何より必要だと考えていました。あとはザウルスやデジタルカメラなど他の機器との連携も重要なポイントでした。PC-SX1はこの視点で開発しました。
- お二人のこだわりがそのまま形になったということですか。
澤近 そう思ってもらって結構です。PC-MT1とPC-SX1はそれぞれ青木と私が強い思い入れを持って企画を進めた商品なのですが、私たち2人は性格もモバイルに求めるスタイルも全く対照的なんですね。そのことが奏功して、今回全く性格の異なった2タイプの商品の開発につながったと思っています。PC-MT1は持ち運ぶという意味でのモバイル性に特化した「小さく運んで大きく使える」ノートパソコンに仕上がりましたし、一方SX1は持って行った先でガンガン使えるバッテリー駆動時間という意味でのモバイル性に特化した「小さく運んで色々使える」ノートです。外観も薄くエレガントな雰囲気のMT1と、堅牢感あふれるコンパクトなSX1とで二極分化した様相になりました。ユーザーの方々にPC-MT1/SX1を通して当社が考えるモバイルの2つの方向性を感じ取っていただけたら非常にうれしいです。
緊急開発プロジェクト(通称 緊プロ)始動−。薄さ・軽さへの限りなき挑戦。[PC-MT1]
- PC-MT1の企画発想段階から商品化に至るまでの経緯を教えてください。
青木 企画立ち上げの直接的なきっかけになったのは、2000年4月の「オンリーワンのパソコンを作れ!」という社長の指令でした。これは当社の今年度経営方針の1つである「製造業を極める」に端を発するもので、当社でしか作れない商品の開発から生産までを国内で行い、モノづくりを技術者の手の内に取り戻そうという主旨のものです。
オンリーワンの特長を具体的に検討していくなかで、ノートパソコンの究極の姿である「紙のように薄くて軽いシートパソコン」を目指そうということになりました。具体的な目標としては、厚さ10ミリを設定しました。
- 「10ミリパソコン」とはすごいですね。
青木 ハードルが10ミリととにかく高かったので、「まず薄さありき」でスタートしました。逆にそれ以外は何も決まっていない状態でしたね。それで最初にまず厚さはどれくらいまで実現可能か、どんな大きさのもので、スペックはどうするかなどを検討するワーキンググループを作りました。ここで真っ先に決断すべきことは液晶と本体のサイズでしたので、サイズ感を見る目的で厚さ10ミリの10型・11.3型・12.1型3タイプのモックアップを作りました。写真ではわかりにくいかもしれませんが、厚さ10ミリというのは実際手に取ってみると相当薄いものです。液晶の大きさに関しては、「ワールドワイドに展開可能なパソコン」という今回の開発命題が別途ありましたので、割と早い段階でキーピッチが大きくとれる12.1型に決まりました。大きさが決まって次は“厚み”ということになるのですが、実は本当の戦いはここからでした。
製作したモックアップの一部
- 厚さ10ミリの壁は高かったということでしょうか。
青木 薄さへの挑戦はありとあらゆるトレードオフにぶつかることを意味していました。まず現実問題として10ミリでは薄すぎて標準的なバッテリーやハードディスク、LANのインターフェイスすら入らないという問題に直面しました。コストや開発期間に糸目をつけないというのであれば話は別ですが、通常通り約1年くらいの開発期間とある程度の投資効率を考慮した上での開発というスタンスに立つと、残念ながら現在、10ミリのパソコンを現実のものにするだけの技術力はまだありません。そこでワーキンググループでは10ミリが無理なら究極のところどこまで薄くできるか、いったん仕様も全部削ってしまって最も薄いのは何かという絵を描いて、そこから譲れないポイントを戻していく発想で厚さを再算出することにしました。
- 具体的にはどのくらいの数字がたたき出されたのですか?
青木 単純に計算していくとノートパソコンで使っている標準のハードディスクの厚みが9.5ミリで、それにキャビネット等が加わり本体部の厚みだけで11〜12ミリになります。次に表示ユニット部ですが、ガラス、導光板などユニット内部の構成要素ごとにミクロン単位で極限まで薄くしていった結果、なんとか5ミリという結論に至りました。この液晶部分の検証および専用ユニットの開発に関しては、三重の液晶工場に約4ヶ月間こもって孤軍奮闘してくれた技術スタッフの存在なくしては語れません。以上の経緯で12.1型・16ミリ[表示ユニット5ミリ+本体11ミリ]を目標値にしたPC-MT1は2000年10月、設計段階に駒を進めると共に、『A1216プロジェクト』という緊急開発プロジェクトとしてようやく本格的な開発ステージに突入しました。全くの手探りでスタートし、約半年間におよんだこのワーキンググループでしたが、PC-MT1を語る上で欠くことのできないポップアップ式キーボードやキャビネット一体薄型表示ユニットという新開発テクノロジーのプレアイディアもこの段階で生まれたものでした。
開くといっそう薄さが際立つ“10ミリ”パソコン (モックアップ)
- シャープの緊急開発プロジェクト(通称 緊プロ)と言えば、非常にヒット率の高い独自の商品開発手法として世界的にも有名ですよね。
青木 ひとつのテーマに開発リソースを集中投下するプロジェクトで、全社横断的にメンバーを選出、開発にあたるというものです。自分のやりたかった商品開発で緊プロに加われたことはとても幸せに感じましたが、金バッチの重み(※緊プロメンバーの名札は社長と同じ色である金バッチになる)や全社的なプレッシャーに悩むこともしばしばありました。
- その後は最終型まで一直線で進行したのですか?
青木 方向としては一直線ですが、道のりは決して真っすぐではありませんでした。搭載するバッテリーサイズやインターフェイス関係など、やはり薄さをめぐっていくつかの究極の選択を迫られました。薄さには徹底的にこだわるんですが同時にただ薄いだけのものにはしたくない、限られた厚みの中にパソコンとして“しっかり使える”機能を搭載するということも絶対譲れないポイントだったんですね。このせめぎ合いのなかで、最終的には16.6ミリの現在の形になりました。
- 幻の“10ミリパソコン”はいつか現実のものになるのでしょうか?
青木 もちろん、薄さに関してはさらに追求していきます。加えて、今後の展開の方向性としては重量やバッテリー駆動時間などにも目を向け、「より薄く・より軽く・より長く」を一層追求していきたいと考えています。
- このPC-MT1の開発から得たことはありますか?
青木 今にして思えばあの“10ミリ”というポーンと川を飛び越えるような目標があったからこそ今回、PC-MT1で世界最薄・最軽量が実現できたんだろうと思います。おそらく現実的で安全なこちら側の岸にいたのでは16ミリは実現できなかったでしょう。この貴重な体験を忘れず、今後も商品開発に貪欲にチャレンジしていきたいと思います。
モバイルの姿は1つじゃない。こだわり続けたもう1つの形。[PC-SX1]
- PC-SX1の開発の経緯について教えてください。
澤近 PC-SX1は2000年9月から企画構想を始めました。一番最初にも申し上げましたが、外出先で時間を気にせずガンガン使えるバッテリーの持ち時間と、コンパクトさ、ザウルスやデジタルカメラ等との連携に主眼を置いて私が企画した商品です。この点は私自身のこだわりももちろん大きいのですが、それだけではなく今後訪れるブロードバンド時代に向けたモバイルの1つの方向性という意味合いもあります。通信環境の飛躍的な充実により通信利用の増加が想定されるブロードバンド時代のモバイル活用を考えた時、ユーザーの方にとってバッテリー駆動時間は今以上に切実な問題になるのではないかと。
- 開発にあたり、いちばん苦労された点はどこですか?
澤近 SX1の場合もMT1と同様にもちろん開発上の苦労はありましたが、それ以上に頭を悩ませたのが、同じモバイルのカテゴリー内でのSX1とMT1の棲み分けでした。薄さを追求したMT1、バッテリー駆動時間と他のモバイル機器との連携を重視したSX1、現在は全く性格の異なるモバイルパソコンとして認識して頂いていますが、開発当初は、従来モバイルパソコンを1シリーズしか設定していなかったこともあり、MT1と同じモバイルのカテゴリーで、SX1の必要性が社内でなかなか理解されないという苦悩があったのです。
- その状況をどうやって打破したのですか?
澤近 まず、ユーザーから見てSX1とMT1はどのように映るのか、棲み分けが出来ているのかを調査するために、本社の生活ソフト企画本部に協力を仰ぎ、東京/大阪の社内/社外にて徹底的なヒアリングを行いました。結果は、ほぼ全員が迷うことなく自分の好みでSX1もしくはMT1を選び、人気も男女比率も全くの五分でした。このことから、モバイルを表現するスタイルは1つではない、SX1とMT1はモバイルというジャンルで共存出来ることを確信しました。これは、まさに”モバイルコンシャス”という考え方に一致します。
それからは、SX1が私が自分なら一番欲しい、多くのモバイルユーザーのフィット感に答えられるはずだと自信を持って開発に取り組むことが出来ました。技術担当者も全く同じ考えを持ち、今回SX1に初めて搭載するSDカード/スマートメディアカードスロットにも悪戦苦闘しながら、アグレッシブに取り組んでくれました。そのような取り組みにより、SX1は納得できる機能を搭載した商品に仕上がり、MT1と共に全く性格の異なったモバイルパソコンとしてデビューを果たせたと考えています。
- 企画担当者と技術担当者で大きくぶつかり合う場面はありませんでしたか?
澤近 私は私で、技術者は技術者で、それぞれ自分の商品だとプライドを持ってやっていますので、「商品性はこっちの方がいいはず」「自分が使うならこうでないと」という部分で、中には折り合いのつかない場面ももちろんありました。しかし出発点である自分がほしいもの・一番いいものを作りたいというのは共通認識ですから、ケンカをするというよりは力を合わせていいものづくりができたという感じです。キーワードとしてもう1つつけ加えるとすれば、逆境に負けない“根性”でしょうか。
自分で企画・開発した商品を前にする両氏。
(右)PC-MT1と青木氏
(左)PC-SX1と澤近氏
青木 「企画と技術の連携プレー」や「根性」という意味ではPC-MT1の開発に関しても全く同じです。
- お話の端々に商品開発に懸ける熱い思いがあふれ、モノづくりの原点を垣間見た気がしました。 本日は貴重なお話しを聞かせていただき、ありがとうございました。
次回、第三回目は技術スタッフの方をお招きして、薄さをもたらしさ技術力などテクノロジーの深淵に迫ります。
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