−MURAMASAは先生のお仕事のどんな場面で活躍できそうですか?
まず1つはMURAMASAとデジカメをつないで、絵画の修復計画を立てるのに役立ちそうですね。これは先日、実際に行った作業なのですが、そもそも東洋の絵画っていうのは、ある程度の大きさの紙や絹を貼り合わせて作った大きい1枚の画面に絵を描いているので、それを巻物や屏風に表具したり、それをまた元に復元したりするのに、紙の継いであった部分をいったん剥がしてもう一度貼り直すという作業を伴うんです。昔だったら元の状態を写真に撮って、実物大位にプリントしておいて、それをベースに1枚1枚貼り合わせてと、大変手間とお金をかけてやっていたのですが、先日は絵画のパーツごとに撮影したデータをMURAMASAに取り込んで、Photoshop上でレイアウトを調整できたので、すごくラクでした。このやり方なら修正も自在ですし。貼り替えの現場に、MURAMASAを持って行けば、MURAMASAの画面を使って修理屋さんと相談しながら作業を進められるので、いっそう効率良く作業できると思います。
あとは、まだ今は準備段階なのですが、デジタルデータ化した写真をMURAMASAのHDに入れていつも持ち歩こうという計画があります。ギャラリー関係者との会合などで、東京で作品を見せる機会が結構あるんですよね。これまではプリントを箱に入れて京都からわざわざ持って行ってたんですが、これがかさばる上に毎回必ず「あっ、あれを持ってくればよかった」ということになるんですよ。写真を貸す・送り返してもらうなどのやりとりも面倒ですしね。その点、MURAMASAを使えば今後は本当に便利になりますよ。なにせHDが20Gもあるので、テーマごとに分けてスッキリしかも大量に格納できます。要望があれば、その場でメディアに落としてお渡しすることも可能です。
来月から横浜で個展を開くのですが、ギャラリーのディレクターと打ち合わせする際も、作品をどう並べるかなどはMURAMASA上でアルバム形式で表示できるのですごくやりやすいですよね。場合によってはプロジェクターでスクリーンに映し出すことも可能だし、私のように人前でアピールするのが苦手な人間にとっては、さり気なくプレゼンテーションできるMURAMASAはいい仕事まで運んできてくれそうな、大変頼りになる存在です。