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仏像写真家 金井 杜男氏

MURAMASAが研究をアシスト

―この赤外写真に現れた文字も先生が読まれるのですか?
まさか、まさか!それを専門に研究されている方が大勢いらっしゃるんですよ。しかも墨書は人によって読み方や解釈の仕方が違ってくるので1つのものを何人もの人が読む。その解釈の違いで大論争に発展したりもするんですよ。字が出て、それを映像として記録するところまでが私の仕事です。

ところでこの赤外写真なのですが、大体1回1週間の調査で200〜300本くらいの写真を撮りますから、山を下りたらまずそれを現像して、さらにプリントするので、何だかんだ言って3週間から1ヶ月くらい経たないとこの赤外写真にはたどりつかないわけなんですよ。ですから必然的に墨書解読者の方には「字が出ました!」と第一報を入れてから、その字を画像でご確認いただくまでに、1ヶ月程度のタイムラグが発生してしまうのです。それが最近すごいデジタルカメラが発売されましてね。赤外線カットフィルターを取り外しできるというものなのですが、そのカメラを使うと赤外フィルムを使わなくても、デジタルカメラで赤外線撮影ができるようになるんですよ。さっき言っていた、私がMURAMASAを使ってやりたいというのがまさにこれで、そのカメラをMURAMASAにつなげて、現れた墨書のデータをリアルタイムでMURAMASAに取り込んでいきたいんですよね。そうすれば現像やプリントの手間も省けるし、なんと言っても山の上から墨書の画像データを、見つけたその日のうちに墨書解読者の方にもメールで送付できるようになるわけですよ!今まで1ヶ月かかっていたのですから、ものすごい効率アップですよ。ただ1つ問題があって、そのすごいカメラは300万円もするんですよ。残念ながら、今すぐには買えません・・・。ただこの調査は文部省の重点領域研究に認定されているので、科学研究費がおりるんです。それでなんとか手に入れたいですね。
―その調査はいつ完了する予定なのですか?
巻物は全部で4千巻以上あって、今2千数百巻まで完了しています。年に1回か2回、大体10名くらいのスタッフが高野山の宿坊に丸1週間こもって作業して、それをかれこれもう10年くらい続けてこのペースです。私が退官するまでにはなんとか終了させたい、というかすべてを見届けるまでは現役を引退できませんので、やはりどうしても先ほどのカメラとMURAMASAの力が必要ですね。
―価値ある研究にぜひ、MURAMASAをお役立てください。今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。
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