同時視聴者数4万人超!大成功を納めて興奮冷めやらぬ「RAGEプロジェクトセカイ 2020 Winter powered by AQUOS」イベント終了直後の楽屋、席に着くや否や速攻でマシンガントークを始めたCyberZの大友さん、セガの飯野さん、Colorful Paletteの塚田さんのリアルなやりとりをお届けします。

大友 真吾

2007年、株式会社サイバーエージェント入社。インターネット広告事業本部で営業とマネジメントを経験後、2009年株式会社CyberZの取締役に就任。
eスポーツ事業とエンタメDX事業の担当役員を務め、2020年に同社CSOに就任。
eスポーツ事業としては、国内最大級eスポーツイベント「RAGE」を運営し、総合プロデューサーを務め、エンタメDX関連事業としては「SUPERLIVE by OPENREC」にてアーティストのオンラインライブをサポートしている。

飯野 光一

株式会社セガ ジャパンアジアスタジオ統括本部 マーケティング部に所属し、「初音ミク Project DIVA」シリーズでセールスやマーケティングを担当。本作ではColorful Paletteのメンバーと共にマーケティングを務める。

塚田 陸

株式会社Colorful Palette プロモーション担当。ゲーム会社にて様々なスマホゲームの企画やプロモーション・外部展開の推進を経て、「プロジェクトセカイ」ではColorful Palette側のプロモーション責任者を務める。

キーマン3名が楽屋に集結、興奮のまま早速トーク開始!

大友:今回の大会は「RAGEがどう音ゲーをやるのか楽しみですね。」と、eスポーツ業界の方々にも注目頂いていたみたいなんです。

飯野:リズムゲームって、格闘ゲームなどに比べると勝ち負けが少しわかりづらいと思うんです。

大友:はい。

飯野:今回のRAGEではルール作りが工夫されていて、プレイ中は緊張感がありつつ、結果が分かりやすかったのが良かったですよね。

大友:点数の発表の仕方なども、こちらの制作メンバーとも工夫して、議論を尽くしましたね。

※ 点数発表の様子

大会ルール用に専用アプリを開発

開発側でもかなり議論されたのでしょうか?

塚田:そうですね。RAGEさんともかなり話して、演出をこだわったのはもちろんのこと、今大会の本戦用にアプリを用意したんです。
本来のプロセカのスコア形式だとフルコンボをとることも重要なのですが、今大会のシステムでは、途中でコンボが途切れたとしても、Perfect数の割合で勝ち負けが決まるようにしました。一回コンボが途切れてもまだ逆転のチャンスがあるという点で、最後までハラハラする展開が作れたんじゃないかと思います。

大友:そうですよね。元のアプリのままでは、一回コンボが途切れちゃうと最後を待たずして結果が分かっちゃうケースもあるので。

塚田:“大会として盛り上がれる”1つの要因だったのかなと思います。

この大会用モードを実装して欲しいユーザー絶対いますよ!「eスポーツモード」みたいな感じで(笑)

塚田:いえいえ、これは大会用のアプリなので今のところ公開予定はありません。体験したいと思って頂いたのであれば、本戦まで挑戦してください!(笑)
今回、視聴者数も多くてかなり盛り上がっていたと思うので、細かいところで改善はしつつも、このルール自体は続けていくと思いますね。

ルール作りはもちろん、番組の雰囲気作りにも気を使ったんじゃないかと思います。ワチャワチャした楽しい雰囲気にするのか、今回のようにヒリヒリとした緊張感のある雰囲気にするのか。番組の方向性が始まるまで分からなかったので、それも楽しみの1つでした。

大友:特に決勝は2画面だけになって緊張感が増しましたね。あれは他のジャンルのゲームとも異なる独特な緊張感だなと思いました。

※ 決勝でのプレイの様子

飯野:実際に大会を見ていると、相手に勝つというよりも、皆さん“自分との闘い”だったんだろうなと感じました。実際に選手の皆さんからも「納得できるプレイがしたい」、「悔いがないように」というコメントもあり、“自分に勝つ”という皆さんの意識が必然的に緊張感に繋がった印象がありますね。

決勝での初見譜面の課題曲発表の瞬間も緊張感がありました。

塚田:音ゲーの大会だと、初見譜面を流すというのはよくあることなので、当初予定はなかったのですが実装しましたね。

※ 左:飯野さん(セガ)、中央:塚田さん(Colorful Palette)、右:大友さん(CyberZ)

セガ×RAGEのタッグはeスポーツの歴史を動かす

今回なんですが、セガさんとCyberZが組むって結構、歴史的なことだと思うんですよね。

飯野:といいますと…

セガって、eスポーツって言葉が生まれる遥か前の1990年代からゲームの競技化に積極的だったわけで、もう「バーチャファイター2」の頃から、ゲームの上手いプレイヤー達をイベントに招待してタレント化するってことをされていた企業だったと思うんです。

飯野:なるほど、歴史の紹介までありがとうございます(笑)

いえいえ(笑)だからこそ、このタイミングでの大会運営という観点で、これからのeスポーツイベントを盛り上げていこうとされているRAGEと、新旧ともいえるタッグを組んだのはターニングポイントだと思うんです。

飯野:今回はやはりプロセカという作品のご縁が大きいと思います。ゲームの開発ではColorful Paletteさんとタッグを組ませて頂き、「初音ミク」というキャラクターを生み出したクリプトン・フューチャー・メディアさんや、楽曲を提供頂いたアーティストの皆さんなど多くのメンバーで作り上げている大切な作品なので、今回のイベントも強力な影響力を持つCyberZさんに協力頂くことで成功に繋げたいと考えていました。実際に良いパートナーになって頂いたと考えていますし、プロセカの持つ可能性を広げることができたとも感じています。

大友さんはどう感じますか?

大友:これまでもOPENRECを通じた番組やイベントのコンテンツ許諾という点ではセガさんにご協力頂いたことも多々あったので、初めて組ませて頂いたという実感はあまりなかったですが、確かにRAGEとしての大きな取り組みでは初めてですね!

第2回の開催は期待して良いか?

RAGEになるって、競技としてプレイするユーザーにとって嬉しいことで。定期的にやってくれそうな期待があるんです。いくら賞金が出る大会があったとしても、それが単発だと次へのモチベーションを保つのが難しいですし。えーと…次の大会も期待しちゃって良いでしょうか?(笑)

大友:かなり盛り上がりましたし、僕らも目標としていた視聴数よりも上回る結果となり、多くの関係者様にも数字的にも満足頂けるのかなと思っているので、私としては前向きに考えていますね。

塚田:特に良かったなと思うのは、演出や配信のコメントも含めて、選手の方々に焦点が当たったことです。その点で大会の醍醐味は感じたので、大会が続くようであればもっと選手の方にフォーカスしていきたいですね。定期的に続けていければやがてはスター選手が出てくると思いますし、その選手を目指す人や応援する人も出てくる。そうやってみんなで楽しめるようなコンテンツとして育てていければと思いますね。

次回以降は古参の音ゲーガチ勢の方々も参戦して、さらに群雄割拠になっていく気がします。

飯野:既に今回かなりレベルが高かったですよね。

塚田:めっっっちゃ高かったです。

飯野:予選の通過ラインも非常にハードルが高く、サービス開始から短い期間でも、既に「仕上がっている」ユーザーさんが多くいらっしゃいました。新しいプレイヤーもどんどん増えていっていますので、今後も魅力的な大会になっていくと思いますね。

開発時から、競技的な側面について想定して作られたんでしょうか?

塚田:いえ、競技については意識していないですね。
ただ、そもそもリズムゲームがメインサイクルに組み込まれている以上、やり込み要素というのは重要になるので、繰り返しやっても楽しいというところを目指して開発を進めていきました。

プロセカって、音ゲー部分の作り込みだけじゃなくて、ストーリーモードも充実していて、オリジナルキャラによるユニットも魅力的なので、本気でいろんな人が楽しめるゲームに仕上げてきたと感じます。

塚田:プロセカはアーケードの音ゲーマーから、スマホで楽しむライトユーザーの方にも広がっているゲームなので、その部分がRAGEさんともシナジーを生んで、今回の「RAGEプロセカ」の4万人超っていう同時接続視聴者数にも表れたんだと思います。

オンライン視聴は絶対飽きてくる、必要とされるオフライン

初回にしてかなりの完成度だった「RAGEプロセカ」ですが、今後はもっとこうしていきたい!というのはありますか?

塚田:ご時世がご時世なのですが、今後可能であればファンの方も観客として来て頂く形でやっていきたいと思いますね。ファン同士でその場で共感できる楽しさがあると思うので。

例年のRAGEのように幕張とかで盛大に開催されるのも楽しみです。RAGEは複合型のイベントですが、その頃のプロセカの盛り上がり次第では単独での開催も期待できそうでしょうか。

大友:できたらそうですね!落ち着いてからになりますが、会場がいつ押さえられるか分からないので、来年の会場を先に押さえてしまって、そこにたくさんコンテンツを集めて盛り上げても良いですし、プロセカ単独での開催もできる可能性は十分あると思います。

ちょうど、ご時世のお話も出たところで、今回のように開発側とイベント運営側の方々が一堂に会するのも貴重なのでお伺いしたいのですが。ゲームの開発側としては、在宅が増えたことによって業界として潤っているとされている一方、イベント運営側は試行錯誤の時期が続いています。両者の支え合いが重要な時期かと思うのですが、その辺りはどうお考えでしょうか?

飯野:セガは様々なジャンルやプラットフォームに向けた作品を開発していますので、何か一つだけが勝っても喜ぶことはできません。自社だけでなく、今後もゲーム業界全体が盛り上がっていくことが重要だと思っています。
そのためにも業界内の意識を合わせることが大切だと思いますし、CyberZさんのようなパートナーとも手を取り合って業界を盛り上げていければと考えて います。

大友:運営側としても、オンラインでの視聴体験っていうのは、改革が求められていると感じます。オフラインイベントの参加体験が1年近くないため、みんなオンライン視聴にも飽きはじめてくると思うんですよね。配信を観て、チャットするだけではなく、もっとインタラクティブな体験が必要になってくると思うので、新たな配信のやり方は模索していきたいと考えています。

その取り組みが、今回の「RAGEプロセカ」で1つ実を結んだ気もします。開発側としては今の状況についてどう思いますか。

塚田:そうですね。僕らとしてもプロセカをいろんな形で発信していきたいと思っています。
リアルイベントでファンの方々とお会いしたい気持ちもありますし、RAGEとしても、元々オフラインで大会を実施していたと思うので、その方がパフォーマンスを発揮できるんでしょうけど、今は難しいですよね。
ただ、このご時世でもファンの方に楽しんで頂きたいという気持ちが強かったので、オンラインに合わせてカスタマイズしたことで、今できる精一杯の感動と興奮を提供できたのではないかと思います。

あとオフラインイベントだと、その場で共感できる人数も限られてしまいますが、今回はオンラインで4万人以上の間で熱量が共有されるような表現ができたと思うので、これを一つの成功体験として、より良くしていきたいです。

驚異の盛り上がり!しかしまだまだやれることも?

プロセカの魅力って、今回のようなリズムゲームとしてのやり込み要素だけじゃなくて、オリジナルキャラクターやストーリーにもありますよね。

塚田:今回はeスポーツとしての音ゲーの大会だったので、シンプルにリズムゲーム部分を全面的に押し出したイベントにはなりました。

もし今後、オフラインイベントをやるとなると、リズムゲームでありつつも、キャラクターのファンの方々も楽しめるようなイベントを併設することで、キャラクターファンと音ゲーファン、両方の方々に楽しんでもらえるところへのチャレンジもしたいですね。そういう意味ではまだまだやれることはあると思っています。

飯野:2020年9月30日にサービスを開始してから、物凄いスピードでのRAGEの開催となりました。これはひとえに多くのユーザーさんが遊んでくださっている結果だと思います。これからもユーザーの皆さんがプロセカを楽しんで頂けるように一生懸命新しいことを考えていきたいと改めて感じた1日になりました。

リリース前後から大会の段取りがあったとお伺いしていますが、ここまで多くの方々に遊んでもらえるとういう確証はなかったと思います。どうしてここまで遊んでもらえているのでしょうか?いま音ゲーは非常に多くて、生き残るのが大変です。

塚田:昨今いろいろなゲームがリリースされていますが、僕らはゲームを通して新しい体験をしてもらいたいと思っています。
例えば、プロセカの中にはバーチャルライブというものがありまして「これはもはや音ゲーなのか?」って感じなのですが(笑)キャラクターがライブしている様子を他のファンの方とリアルタイムで同期して楽しめるんです。

リリース前に体験版アプリを出した際にもこのバーチャルライブがあったのですが、実際に遊んでもらったところファンの方々から反響があって、受け入れてもらえて良かったとチーム一同喜び、みんなそれぞれ一ファンとしてライブに参加していました(笑)

なるほど、確かにこれまでは音ゲーってひとりで遊ぶものだというイメージが強かったですよね。

飯野:マルチプレイでも楽しめるように様々な工夫はしていますが、一人で遊んで頂くことがやはり多いのかなとは思いますね。

塚田:今はスマホというみんなが持っているプラットフォームがありますし、リズムゲームがありつつも、そこにマルチでみんなが遊べる機能を追加することで、楽しさを共感できるようになっています。誰かと一緒に共感しながらプレイすることでより楽しくなると思いますし、もちろん1人でも好きな時間に好きなだけ遊んでもらえるようになっています。また、そういう点が友達にもオススメしてもらえて、広まったポイントにもなっているのかなと思いますね。

最後になりますが、今後の話について聞かせてください。世界的にも親しまれているボカロが要素として含まれているのが、今後の展開として効いてくると思いました。プロセカを日本発の音ゲーとして国際展開を期待してもよいのでしょうか?

飯野:この場で「やります!」とはお伝えできませんが、「HATSUNE MIKU EXPO(初音ミクEXPO)」の展開など、初音ミクさんは日本のみならずアジアや全世界で人気のキャラクターですし、より多くの方に楽しんで頂きたいとは考えています。

塚田:初音ミクさんは国内だけでなく世界でも愛されているので、何かできればと思ってはいます。今後、もしプロセカが世界展開できたら、今回のようなイベントを国際大会として実施することもできると思います。
また、ゲームや音楽を通して人と人が繋がることで、言葉が通じなくても共感できたり楽しめると思うので、さらに盛り上げていきたいですね。

もっとお話を伺いたかったですが、大会直後の遅い時間ですのでそろそろ閉めようかと思います。お忙しいところ、誠にありがとうございました!

インタビュアー:小川翔太

WEB編集者/ eスポーツジャーナリスト
Twitter:https://twitter.com/oga_5648

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