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2009年11月2日

プラズマクラスター※1技術により、世界初※2付着および浮遊両状態の 「新型H1N1インフルエンザウイルス」の感染力を抑える効果を実証

シャープは、ウイルス学の世界的権威であるロンドン大学ジョン・オックスフォード教授が設立したレトロスクリーン・バイロロジー社※3と共同で、高濃度プラズマクラスターイオンが世界で初めて、付着・浮遊の両方の状態の「新型H1N1インフルエンザウイルス(以下新型ウイルス)」の感染力を抑えることを実証しました。

今回の実験では、プラズマクラスターイオンが、付着新型ウイルス(シャーレに滴下)を2時間で99.9%抑制(イオン濃度約30万個/cm3)、加えて浮遊新型ウイルス(容積1m3ボックス内に浮遊)を40分で95%抑制(イオン濃度約2万5千個/cm3)することを実証しました。 なお、浮遊新型ウイルスとは、飛沫感染を起こす浮遊粒子の粒径5μm以上10μm以下のものと、空気感染を起こす粒径1μm以上5μm未満のものをさします。

当社はアカデミックマーケティング※4に基づき、2000年より世界の学術研究機関と連携して、プラズマクラスター技術が空気中に浮遊するMRSA※5など28種類の有害微生物の活動を抑制する効果があることを実証してきました。このうち、浮遊ウイルスに関しては、季節性H1N1型ヒトインフルエンザ /H5N1型トリインフルエンザ/コロナ/SARS/ポリオ/コクサッキーに対するプラズマクラスターイオンの感染力を抑える効果を確認済みです。

また、2002年に高濃度プラズマクラスターイオンの安全性を確認し※6、2005年には「プラズマクラスターイオンが感染のトリガーとなるウイルス表面のスパイク状たんぱく質を破壊するメカニズム」を学術機関※7と共同で解明しました。

当社は今後も、健康的な環境を創出するためにプラズマクラスター技術のさらなる進化と実証を進めてまいります。

ジョン・オックスフォード教授(Prof. John S. Oxford)のコメント

新型インフルエンザウイルスは、極めて急速に出現したのち、わずか3ヶ月で世界中に広がり我々を驚かせました。ウイルスは呼吸による感染か付着による感染のいずれかの方法で人に感染します。この2つの感染経路でプラズマクラスター技術の効果を確認しました。この技術の最大のメリットは、多様な種類のウイルスに応用が可能なことです。トリインフルエンザだけでなく、新型インフルエンザについても今回効果が確認されました。この技術は、ウイルスの脅威に対して我々ができるマスクや手洗いとならぶ多層防衛策の一つになると考えています。

  • ※1 プラズマクラスター、プラズマクラスターイオンおよびPlasmaclusterはシャープ株式会社の商標です。
  • ※2 2009年11月2日現在 シャープ調べ
  • ※3 OECD(国際経済協力開発機構)における優良試験所規範であるGLP適合機関。GLPは、3年毎に確認更新が必要で試験施設毎に運営管理、試験設備、試験計画、内部監査体制、信頼性保証体制、試験結果などをチェックし試験成績の信頼性を確保している。
  • ※4 技術の効能について、先端の学術研究機関と共同で科学的データを検証し、それをもとに商品化を進めるマーケティング手法。
  • ※5 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌。病院などで体力の低下した人に感染し、抗生物質が効きにくいことが問題となっている。
  • ※6 三菱化学メディエンス(株)にて試験(吸入毒性試験、眼および皮膚刺激性・腐食性試験)
  • ※7 (独)アーヘン応用科学大学アートマン教授と共同研究

付着「新型H1N1インフルエンザウイルス」への効果実証方法

高濃度プラズマクラスターイオン発生デバイスを用いて、イオン(濃度約30万個/cm3)を発生させ、付着新型H1N1インフルエンザウイルス(プラスチック製シャーレにウイルス液を滴下)に一定時間照射しました。 2時間照射後付着ウイルスを回収し、その感染力(感染力価※8)をウイルス研究分野で一般的に用いられているTCID50法※9で調べました。その結果、ウイルスの感染力価はイオン照射なしの自然減衰の場合と比較して99.9%減少しました。

付着「新型H1N1インフルエンザウイルス」への効果実証方法
  • ※8 感染力価:ウイルスの細胞への感染能力を表す値。
  • ※9 TCID50法:段階的に希釈したウイルス液を細胞へ接種し感染力を調べる方法。

浮遊「新型H1N1インフルエンザウイルス」への効果実証方法

容積1m3のボックス内にプラズマクラスターイオン発生デバイスを設置。イオン(濃度約2万5千個/cm3) を発生させ、新型H1N1インフルエンザウイルスをボックス内にミスト状(粒径分布1μm以上10μm以下)に噴霧しました。噴霧終了40分後、ボックス内の浮遊ウイルスを回収し、その感染力(感染力価)をTCID50法で調べました。その結果、ウイルスの感染力価はイオン照射なしの自然減衰の場合と比較して95%減少しました。

浮遊「新型H1N1インフルエンザウイルス」への効果実証方法

ジョン・オックスフォード教授(Prof. John S. Oxford)のプロフィール

ジョン・オックスフォード教授
  • 英国 ロンドン大学 クイーン・メアリー校 医学・歯学部
    細胞分子科学インスティテュート ウイルス学教授
  • レトロスクリーン・バイロロジー社 創立者、代表
  • ウイルス学に関する数多くの国際学会・会議で議長を務める

レトロスクリーン・バイロロジー社の紹介

ジョン・オックスフォード教授により1989年創設。ウイルス、薬品、ワクチン関連の研究・試験機関として設立され、本分野における先端機関として知られる。化学物質の安全性試験の実施において、高い信頼性を維持するための国際的な管理基準であるGLP(Good Laboratory Practice)や、品質マネジメントシステム基準であるISO9001の認可を取得している。

プラズマクラスター技術の有害物質活動抑制効果実証一覧

対象有害物質 種類 実証機関 時 期
細菌 セラチア菌 米 国 ハーバード大学公衆衛生大学院 
メルビン・ファースト名誉教授
2007年 3月
大腸菌 (財) 石川県予防医学協会 2000年 9月
大腸菌、白色ブドウ 
球菌、カンジダ菌
中 国 上海市予防医学研究院 2001年10月
バチルス菌 (財) 北里環境科学センター 2002年 9月
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) 2004年11月
MRSA 
(メチシリン耐性 
黄色ブドウ球菌)
(財) 北里環境科学センター 2002年 9月
(社) 北里研究所 北里研究所メディカルセンター病院 2004年 2月
シュードモナス、 
エンテロコッカス、 
スタフィロコッカス
ドイツ リューベック医科大学 2002年 2月
エンテロコッカス、 
スタフィロコッカス、 
サルキナ、 
マイクロコッカス
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) 2004年11月
アレルゲン ダニ、花粉 広島大学大学院 先端物質科学研究科 2003年 9月
ダニ 大阪市立大学大学院 医学研究科 分子病態学教室 2009年 7月
真菌 クラドスポリウム (財) 石川県予防医学協会 2000年 9月
ドイツ リューベック医科大学(増殖抑制効果) 2002年 2月
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) 2004年11月
ペニシリアム、 
アスペルギルス
ドイツ リューベック医科大学(増殖抑制効果) 2002年 2月
アスペルギルス、 
ペニシリアム(2種)、 
スタキボトリス、 
アルテルナリア、 
ムーコル
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) 2004年11月
ウイルス H1N1型ヒト 
インフルエンザウイルス
(財) 北里環境科学センター 2002年 9月
韓 国 ソウル大学 2003年 9月
中 国 上海市予防医学研究院 2003年12月
(社) 北里研究所 北里研究所メディカルセンター病院 2004年 2月
H5N1型トリ 
インフルエンザウイルス
英 国 レトロスクリーン・バイロロジー社 2005年 5月 
2008年 8月
SARSウイルス 英 国 レトロスクリーン・バイロロジー社 2005年10月
コクサッキーウイルス (財) 北里環境科学センター 2002年 9月
ポリオウイルス (財) 北里環境科学センター 2002年 9月
コロナウイルス (社) 北里研究所 北里研究所メディカルセンター病院 2004年 7月
新型H1N1 
インフルエンザウイルス
英国 レトロスクリーン・バイロロジー社 2009年11月
上記有害物質に対して、濃度3千個/cm3以上のプラズマクラスターイオンを照射して活動抑制効果を実証しました。

プラズマクラスター技術について

プラスイオン(H(H2O)n)とマイナスイオン(O2(H2O)m)を同時に空中へ放出し、浮遊する細菌/カビ/ウイルス/アレルゲンなどの表面で瞬間的にプラスとマイナスが結合して酸化力の非常に高いOHラジカルとなり、化学反応により細菌などの表面のたんぱく質を分解して、その働きを抑制する独自の空気浄化技術です。

「プラズマクラスターイオン」発生のしくみ
ウイルスの感染力抑制メカニズム

酸化力の比較

プラズマクラスターイオンは、プラスとマイナスのイオンが浮遊ウイルスに付着して化学反応し、酸化力の一番強いOH(水酸基)ラジカル(標準酸化電位2.81V)を生成して、浮遊ウイルスの感染力を抑制します。

酸化力の比較

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