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2006年7月21日

空気浄化技術として世界初※1
プラズマクラスターイオン※2によるダニアレルゲン抑制メカニズムを解明

シャープが2000年に開発したプラズマクラスターイオン技術は、空気中にプラスとマイナスのイオンを放出し浮遊有害物質を除去する空中浄化方式です。これまで世界の学術機関と共同で、空中に浮遊する細菌・カビ・ウイルス・アレルゲン※3など全26種類の有害物質をプラズマクラスターイオンが抑制することを実証してきました。また、2004年には細菌の、2005年にはウイルスの抑制メカニズム※4をそれぞれ解明してきました。

今回、アレルギー研究で世界的に権威のある広島大学大学院 先端物質科学研究科と共同で、「プラズマクラスターイオン」が、ダニアレルゲン※5のタンパク質を分解することによってアレルギー性を抑制するメカニズムを新たに解明しました。

ダニアレルゲンなど吸入性アレルゲン※6は、その主成分がタンパク質であることが知られています。今回の研究結果によって、広範囲の吸入性アレルゲンへの効果が期待できることがわかりました。

ダニアレルゲン抑制メカニズム解明により、これまで実証したあらゆる有害物質(菌、ウイルス、アレルゲン)抑制のメカニズムを解明したことになります。当社は、空気浄化技術のリーディングメーカーとして、この成果をもとにさらなるプラズマクラスターイオン技術の革新に努めてまいります。

プラズマクラスターイオンによるダニアレルゲン抑制メカニズム

プラズマクラスターイオンによるダニアレルゲン抑制メカニズム

  • ※1 2006年7月21日現在
  • ※2 プラズマクラスター、プラズマクラスターイオンおよびPlasmaclusterはシャープ株式会社の商標です。
  • ※3 アレルギー誘引物質
  • ※4 抑制メカニズムとは、プラズマクラスターイオンが有害物質にどのように作用して抑制するのかという「仕組み」のこと。
  • ※5 ダニの糞や死骸など、アレルギー症状の主な原因となっているもの。
  • ※6 吸入性アレルゲンとは、呼吸によって体内に取り込まれるアレルゲンのこと。気管支喘息や鼻炎などの疾病原因。

メカニズム解明の狙い

当社は2000年にプラズマクラスターイオンの開発に成功して以来、アカデミックマーケティング※7の考えに基づき、空中に浮遊するさまざまな菌、ウイルス、アレルゲンについて、権威ある先端的な第三者機関と共同でその抑制効能を科学的に実証してきました。 しかしながらこれらの浮遊有害物質は幾多の種類が存在し、そのすべてに対するプラズマクラスターイオンの効能を個別に調べることは困難です。従って、その根本にある抑制メカニズムが解明できれば、より広範囲の有害物質への効果が期待できることになります。今回、ダニアレルゲンの抑制メカニズム解明に成功したことにより、これまで実証したあらゆる有害物質の抑制メカニズムがわかったことになります。

またアレルゲンはダニ、花粉、カビ、ペットの皮脂の屑などが存在し、健康を阻害するハウスダストの主要原因と言われています。今回のメカニズム解明により、これら広範囲のタンパク質起因のアレルゲンについて、プラズマクラスターイオンの効果が期待できることがわかりました。

メカニズム解明の狙い メカニズム解明の狙い

プラズマクラスターイオンによるダニアレルゲンのタンパク質の分解

アレルギー患者には、のどや鼻の粘膜上皮や組織中に存在する肥満細胞※8の表面にIgE抗体※9が付着しています。ダニの死骸や糞などに含まれるアレルゲンタンパク質がIgE抗体と結合すると、ヒスタミンなどの刺激物質が細胞外に放出され、のど、鼻の粘膜を刺激し、せき、くしゃみ、鼻水などのアレルギー反応を引き起こします。

今回、プラズマクラスターイオンがダニアレルゲンのタンパク質にどのように作用しているのかを調べるため、電気泳動法※10を用いて、タンパク質の質量分析を行いました(図2参照)。その結果、アレルギー起因のタンパク質がイオン処理により消失することを確認しました。

このことは、プラズマクラスターイオンが、単にタンパク質の構造のみを変化させる変性※11ではなく、アレルゲンタンパク質を切断し、分解消失させることによってアレルゲンを抑制していることを意味します。

プラズマクラスターイオンによるダニアレルゲンのタンパク質の分解 プラズマクラスターイオンによるダニアレルゲンのタンパク質の分解

 

  • ※7 技術の効能について、先端の学術研究機関と共同で科学的データを検証し、それをもとに商品化を進めるマーケティング手法。
  • ※8 肥満細胞とは、体内の免疫機能を司り、アレルギーを引き起こすヒスタミンなどの刺激物質を生産する働きを持っています。
  • ※9 アレルギー抗体とも呼ばれる。アレルゲンとの接触を繰り返すうちに体内に蓄積され量が一定ラインを超えるとアレルギーを発症する。
  • ※10 1930年代にスウェーデンの生化学者チセリウスによって開発、外部から電場をかけると荷電分子が移動する現象(電気泳動)を利用したタンパク質や核酸(DNA)などの分離・分析方法。生化学分野では一般に広く用いられている。
  • ※11 変性とは、タンパク質の立体構造のみが変化することで分子量は変化しない。変性ではアレルギー性が増加する場合もある。
プラズマクラスターイオン発生装置

アカデミックマーケティングによるプラズマクラスターイオン効能一覧

対象有害物質 種類 実証機関 時 期
真菌 クラドスポリウム (財) 石川県予防医学協会 2000年 9月
ドイツ リューベック医科大学(増殖抑制効果) 2002年 2月
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) 2004年11月
ペニシリアム、アスペルギルス ドイツ リューベック医科大学(増殖抑制効果) 2002年 2月
アスペルギルス、ペニシリアム(2種)、 
スタキボトリス、アルテルナリア、ムーコル
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) 2004年11月
細菌 大腸菌 (財) 石川県予防医学協会 2000年 9月
大腸菌、白色ブドウ球菌、カンジダ菌 中 国 上海市予防医学研究院 2001年10月
バチルス菌 (財) 北里環境科学センター 2002年 9月
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) 2004年11月
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) (財) 北里環境科学センター 2002年 9月
(社) 北里研究所 北里研究所メディカルセンター病院 2004年 2月
シュードモナス、エンテロコッカス、 
スタフィロコッカス
ドイツ リューベック医科大学 2002年 2月
エンテロコッカス、スタフィロコッカス、サルキナ、マイクロコッカス CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) 2004年11月
アレルゲン ダニ、花粉 広島大学大学院 先端物質科学研究科 2003年 9月
浮遊アレルゲン カナダ喘息協会 2004年 4月
ウイルス H1N1型ヒトインフルエンザウイルス (財) 北里環境科学センター 2002年 9月
韓 国 ソウル大学 2003年 9月
中 国 上海市予防医学研究院 2003年12月
(社) 北里研究所 北里研究所メディカルセンター病院 2004年 2月
H5N1型トリインフルエンザウイルス イギリス レトロスクリーン・バイロロジー社 2005年 5月
コクサッキーウイルス (財) 北里環境科学センター 2002年 9月
ポリオウイルス (財) 北里環境科学センター 2002年 9月
コロナウイルス (社) 北里研究所 北里研究所メディカルセンター病院 2004年 7月

プラズマクラスターイオンの作用メカニズム

細菌、ウイルス、アレルゲンに対するプラズマクラスターイオンの作用メカニズムは、プラスとマイナスのイオンがそれらを取り囲み、イオンから発生したOHラジカルがそれぞれの表面のタンパク質を分解することで構造を破壊していることが明らかになりました。

1.浮遊細菌抑制のメカニズム

浮遊細菌抑制のメカニズム

2.浮遊ウイルス抑制のメカニズム

浮遊ウイルス抑制のメカニズム

3.浮遊アレルゲン抑制のメカニズム

浮遊アレルゲン抑制のメカニズム

ご参考

実環境下における浮遊ダニアレルゲンの抑制効果検証

実際の生活環境下におけるプラズマクラスターイオンによる浮遊ダニアレルゲンの抑制効果を調べるため、25人の住居を対象とし、イオンありなしの住居に分けて4週間実験を行い、浮遊ハウスダストを採取しました。 採取したハウスダストからダニアレルゲン汚染の指標物質(Der f1)濃度を測定した結果、試験前の初期アレルゲン量からの増加率を比較するとイオンなしの生活空間ではダニアレルゲンが増加し、イオンありの場合は増加しないことを確認しました(図参照)。

実環境下における浮遊ダニアレルゲンの抑制効果検証

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