chapter6 英語らしい表現に向けて

自然な英語表現を身につけるためには、お手本となる文章を真似るのが近道。和英辞典の例文をフル活用するのはもちろん、似たような表現の使い分けには類語辞典を引きましょう。表現したい内容のキーワードで一括検索できる例文検索機能も便利です。

和英辞典の例文をフル活用

■短い文を英語で表現

「ここはどこ?」を英語で何と表現しますか?「ここ」はhere、「どこ」はwhereだから、Where is here?と思ったら大間違い。辞書で確かめましょう。
『ジーニアス和英辞典』で「ここ」を引くと例文に「ここはどこですか」はWhere are we now?と載っています。つまり英語では「(聞き手も含めて)私たちは今どこにいるのですか」という文になるわけです。
もう一つ、「あの人は歌がうまい」を英訳しましょう。「あの人」は「彼」と言いかえられるのでhe、「歌」はsongですが、「うまい」はどうでしょうか。

『ジーニアス和英辞典』で「うまい」を引くと「上手だ」という意味の例文に「彼女は歌がうまい」の英訳として次の3つが載っています。

She is a good singer.
She sings well.
She is good at singing.


このように、短い文でも英語にするときには発想の転換が必要だったり、複数の言いかたがあったりします。それを見つけるには和英辞典の例文をフル活用してください。では、同様に次の文を英語にしてください。

9時にお部屋に参ります。
お腹いっぱいだ。
忘れ物はありませんか?

■基本構造を理解して、英文を考えよう

日本語と英語は基本的に構造が異なります。例外はありますが、英語の主な構造には、次のような特徴があげられます。

1.動詞を中心として構成される
2.主語を必要とする

1と2について詳しく説明しましょう。
日本語では「彼女はビーフシチューだ」「明日は福岡だ」のように「AはBだ」という表現をよく使います。しかし、これらをどちらもA is Bと訳すと意味不明になります。日本では省略されている動詞を補って「彼女はビーフシチューを注文する」「明日は福岡に行く」のように考える必要があります。さらに2文目は、福岡に行くのが誰なのかも考えなければなりません。正しい英語の例は以下の文章です。

She will order beef stew.
I will visit Fukuoka tomorrow.

目的語にも注意が必要です。たとえば会話の中で「今度の日曜日はキャンセルだ」と伝えたい場合を考えましょう。英和辞典でcancelを引くと「〈人が〉〈約束・注文・行事など〉を取り消す」とありますので、目的語にSundayを使うのは適切ではありません。このため、scheduleなどの目的語を補うことが必要になります。次の文は、主語を「私たち」と仮定した英文の例です。

We will cancel the schedule on Sunday.


まずは文章の動詞を見つけ出し、英和辞典で調べてみましょう。

■擬音語と擬態語

擬音語や擬態語が多いことも日本語の特徴です。英語にもclickやbumpなどの擬音語はありますが、日本語ほど豊富ではありません。
「しとしと」「すいすい」「じりじり」「ぼりぼり」「どんどん」「いそいそ」など、思いつく擬音語や擬態語を辞書で調べてください。「雨がしとしと降る」を意味するdrizzleのように動詞に意味が含まれているもの、「すいすい」=smoothlyのように副詞になるもの、「じりじり」=little by littleのように成句になっているものなど、いろいろです。

似ている単語の使い分け

■前置詞に迷ったら

「公園で遊ぶ」は正しい日本語ですが、日本語を習い始めた外国人は「公園に遊ぶ」のように不自然な日本語を使うことがあります。日本語の「で」や「に」に似ているのが、英語の前置詞。
ここでは、前置詞の使いかたに迷ったときに探す方法を紹介します。
まず、和英辞典で助詞の項を見るという方法があります。英語の前置詞と日本語の助詞はある程度対応しているので、役に立つ情報が載っています。

「自転車で行く」はgo by bicycle、「ナイフで切る」はcut with a knifeです。つまり、同じ「‐で」がbyとwithに訳し分けられています。『ジーニアス和英辞典』で「で」を引いて「‐で」の3の開くとwithが道具を、byが手段を表すことが書かれています。
同じように「玄関に立つ」「町に住む」「道路の左に」などの「に」を、英語でどう表すのか「‐に」を調べてください。

もう一つは、英和辞典で動詞・名詞・形容詞を見る方法です。前置詞は、特定の動詞・名詞・形容詞と結びつきが強いこともあり、その場合は英和辞典に記載されています。
agree「賛成する」という動詞を引いてください。日本語では「~に賛成する」と「‐に」を使いますが、英語ではtoではなくwithであることが載っています。

■類語辞典を使いこなそう

日本語の「あたたかい」と「ぬるい」はどのように違うでしょうか。摂氏50度はあたたかいのでしょうか、ぬるいのでしょうか。この2つの単語は、温度そのものではなく、目的との関係を考えて使い分けられます。
日本語の類語でも、違いを説明するのが難しいわけですから英語ではなおさらです。ここでは英語の類語の違いを調べる方法を紹介します。
たとえば「客」という単語。日本語では、家に遊びに来た人も、店で買い物をする人もどちらも「客」ですが、英語では異なります。この違いを知るには、『英語類語使い分け辞典』が便利です。
[辞書メニュー][英語]から[英語類語使い分け辞典]を開いてください。日本語で「客」を検索すると、guest、visitor、customer、clientと英語の類語が載っています。
その下に例文、さらにその下には「使い分け」として、guest、visitor、customer、clientの違いが説明されています。さらに慣用表現として、これら4つの単語以外で表現される例文も記載されています
類義語によっては結びつきが強い語が異なることがあります。たとえば「かわいい」を検索して一番下までスクロールしてください。「かわいい声」と言うときはpretty voiceではなく、lovely voiceのほうが自然であることがわかります。
この辞書は、英語と日本語の両方で検索できる点でも便利です。たとえば、「客」ではなくclientで検索しても同じページを表示します。

英作文より英借文

■和文英訳から英作文へ

日本語を英語に置き換える「和文英訳」と、はじめから英語を書く「英作文」とは、似て非なる作業です。
和文英訳よりも英作文のほうが難しそうに聞こえますが、実は逆です。和文英訳では元の日本語に縛られますが、英作文は自分の言いたいことが伝われば、いろいろな表現を使えます。
たとえば、「まことに申し訳ございませんが、この荷物を先方にお届け願えるでしょうか」という日本語が頭に浮かんだとしましょう。この文で言いたいのは「これを彼(または彼女)に渡してください」ということです。それならば、Please give him this package.で伝わります。

■例文を使って英借文

英作文にお勧めの方法のひとつが、辞書の例文を使うことです。たとえば2020年のオリンピックが東京で開催される、と話したいとします。

まず、和英辞典で「オリンピック」を引き、Olympic Gamesであることを調べます。次に、[調べる]の[例文]でolympic gamesを検索すると、[G和英]に次の例文が見つかります。

ロンドンが2012年のオリンピック開催地に選ばれた
London was chosen to host the 2012 Olympic Games.

これを使って、次のような文章が作れます。

Tokyo was chosen to host the 2020 Olympic Games.


このように辞書の例文を活用すると、単語を組み合わせて英文を作るよりも、正確で自然な英文を作れます。英作文ではなく、例文を借りる、英借文を心がけてください。

■役に立つことわざの暗記

英語上達の方法として、多くの英文を覚えることも有効です。文を丸暗記して、単語の発音や意味、文の構造などいろいろな要素を覚えることができます。状況にあったことわざを口にすることができれば、ネイティブスピーカーも親しみを持ってくれるでしょう。
英語のことわざには、Blood is thicker than water.「血は水よりも濃い」やWalls have ears.「壁に耳あり」のように日本語と似ているものもあります。しかし、多くのことわざは伝えたい内容が似ていても表現が異なります。たとえば「習うより慣れよ」はPractice makes perfect.で、直訳すれば「練習が完全をもたらす」という意味です。次のことわざは英語でどういうか和英辞典で調べてみましょう。


郷に入っては郷に従え
類は友を呼ぶ
蓼食う虫も好き好き
覆水盆に返らず


ことわざを覚えるときに大切なのは、一字一句を間違えずに、そのまま覚えるという点です。「弘法にも筆のあやまり」を「空海にも筆のあやまり」としては正しくありません。英語ではEven Homer sometimes nods.と言い、最後のnodは「居眠りする」の意味です。同じ意味のsleepと間違えて覚えないように気をつけてください。
うまく伝わらない
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