長くソーラーとつきあうには、質の高いメンテナンスが欠かせません。
故障が起きたときの対応や保証制度について、熟練のメンテナンス担当にお聞きしました。
- 近畿地区で5200件以上の施工実績(2012年5月現在)を持つ嶋電気工事株式会社で、メンテナンスチームのリーダーを務める。10年以上に渡る施主邸へのアフターフォローを通じ、さまざまな問い合わせや故障、メンテナンスの対応経験を持つ。第一種電気工事士の資格を持ち、電気設備への造詣も深い。
- 【URL】 http://taiyouko.jp/
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お客さまにとって、「わが家のソーラーがしっかり発電しているかどうか」はとても気になるところでしょう。ソーラーは10年20年と長くおつきあいいただく設備ですので、高いパフォーマンスを維持するためにも定期的なチェックが欠かせません。もちろん、万一故障が発生した場合は、修理対応が必要です。
しかし、ソーラーはテレビや冷蔵庫といった一般的な家電製品に比べて、故障に気づきにくい製品です。お客さまが異常を発見するには、なにより電力モニタをこまめにチェックするのがいちばんです。モニタには日別・月別の発電量や買電量、売電量などが表示され、1時間単位の発電量の推移をわかりやすいグラフで見ることもできます。冷蔵庫の扉を開けるのと同じ感覚で、気軽に電力モニタをチェックすれば、ソーラーに異常が起きた際の早期発見につながりますよ。
とくにシャープ製の電力モニタはすっきりと美しいデザインが特徴です。発電量がバルーンや動物のアニメーションで表現される機種もあり、視覚的な楽しさも工夫されています。楽しみながら確認しやすいので、ソーラーのメリットを体感できますし、異常が発生した際にも気づきやすいと思いますよ。 -
シャープ製ソーラーにはWebモニタリングというアフターサービスがあります。これはインターネットを通じてシャープのモニタリングチームとお客さまのソーラーシステムがつながり、ソーラーの稼動状況を見守るというシャープならではのサービスです。加入は無料ですし、お客さまにはほとんどご負担のかからないものですので、とくにインターネットをお使いの方にはご加入手続きをお勧めします。
Webモニタリングで異常が発見された場合、施工会社もしくはシャープの専任スタッフがお客さまにご連絡を入れ、点検・修理などの対応にお伺いします。なかにはお客さまが気づかれなかった異常を早期発見し、売電の減少を最小限に食い止めたケースもあるそうです。
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10年以上ソーラーに関わってきましたが、地震の揺れや強風、ひょうなどで故障が起きた事例は、私がメンテナンスしている中ではこれまでありません。チリ、黄砂なども、ほとんどの場合、雨で洗い流されることが多いです。
パワーコンディショナの基盤の不具合や配線の接触不良などによる故障は、電力モニタにエラー表示が出るので、その場合には施工会社かメーカーへ連絡してください。ソーラーの故障はパネルを眺めてわかるものではなく、電力モニタが教えてくれるもの。1日の発電量や最大発電電力が昨年より大きく落ちていたら、どこかに故障が隠れている可能性があります。このように前年同時期との比較を続けていくことが必要で、そういう意味でも、電力モニタを見守ることが大切なのです。 -
ソーラーは設置後、長くつきあう設備です。そのため、メーカー各社とも保証制度を実施していますが、シャープ製ソーラーでは10年無償保証と15年有償保証から選ぶことができます。シャープの保証制度の優れた点は、各機器だけではなくシステム全体を保証してくれること。パネルやパワーコンディショナはもちろん、電力モニタ、ケーブル、架台、電力センサー、開閉器、ストリングコンバーターまで保証の対象となるのです。また、保証のために定期的な有償点検が必要になることもありません。当社では15年間有償保証をお勧めし、ほぼ100%のお客さまにご加入をいただいています。
もちろん、10年無償保証のお客さまにも、定期的なご連絡を欠かしません。10年の保証期間終了前に無償メンテナンスをご案内し、1日でも長くソーラーをご利用いただけるように努めています。
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ソーラーの施工数が急速に増えるにつれ、お客さまからのお問い合わせや故障対応も増え、当社もメンテナンス体制を強化しています。屋根専門スタッフ、電気設備専門スタッフなど、各自が専門分野を持つ専任スタッフ6名でメンテナンスチームを構成。お客さまからご要望があれば、パネル洗浄をしたり、鳥よけ対策品を設置することもあります(いずれも有償)。
また、10年もたつと屋根の劣化が進むケースが少なくありません。そんなとき、当社ではソーラーだけでなく、屋根も含めてトータルで見守り、的確なメンテナンスをご提案しています。 -
故障が発生したとき、頼りになるのはやはり、システム全体をよく知るメーカーのメンテナンス会社です。
シャープの場合は全国をカバーするシャープエンジニアリングという100%子会社から専門技術員を派遣し、検査や修理対応をおこないます。
長くメンテナンスに関わっていて思うのは、ソーラーはとても専門性の高い設備機器だということ。当社は電気設備工事のプロフェッショナルですが、それでも施工会社でできる修理には限界があり、最後に頼るのはメーカーの専門技術員です。シャープは「ソーラーテクニカルマイスター」と呼ばれるソーラーの点検・修理のスペシャリストを養成し、全国の拠点に最低1名常駐させています。ソーラーテクニカルマイスターはシャープエンジニアリング社内や協力店から候補者が選抜され、高度な研修を受講後、試験に合格した者だけに与えられる資格。
専用測定器を用いてパネルやパワーコンディショナを調べ、太陽電池の各種電圧・電流や最大出力値などを正しく読み取り、要因を特定できる技能を身につけています。ソーラーは太陽光の日射量や入射角、気温といった自然条件に大きな影響を受けます。現場をよく調べると設置後に予想外の影が生まれていることもあります。メカニックの分野はもちろん、こうした多種多様な条件を総合的に判断し、ソーラーを診断するのがソーラーテクニカルマイスターで、私たちもその専門性の高さに大きな信頼をおいています。