シャープ独自の可視光応答型光触媒材料が新型コロナウイルスのウイルス感染価※1を2時間で99.99%以上※2減少させることを実証
2021年6月23日 掲載
シャープは、国立大学法人 島根大学医学部微生物学講座の吉山 裕規(よしやま ひろのり)教授(日本ウイルス学会理事)と共同で、シャープが独自に開発した可視光応答型光触媒材料による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の減少効果を実証しました。
本試験では、「当社の光触媒材料を塗布したガラス基板」と、「塗布していないガラス基板」のそれぞれに新型コロナウイルス液を滴下。暗幕で覆われたボックス内で1,000lxの白色LED光を照射し、1時間および2時間が経過した時点で、それぞれのウイルス感染価を測定しました。
光触媒材料を塗布したガラス基板では、塗布していないガラス基板と比較して、ウイルス感染価が1時間経過時点で98%以上、2時間経過時点で99.99%以上減少と、明確な効果を確認しました。
- ※1 感染性を持つウイルスの量
- ※2 光照射2時間経過後のウイルス感染価を、光触媒なしのサンプルと比較
実証試験の概要
- 試験実施機関
- 国立大学法人 島根大学医学部(島根県出雲市)
- 試験サンプル
- 当社光触媒材料を塗布したガラス基板
および塗布していないガラス基板 - 光源
- 白色LED
- 照度
- 1,000lx
- 検証ウイルス
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)

試験方法
- 光触媒材料を塗布したガラス基板(以下、光触媒加工品)、塗布していないガラス基板(以下、光触媒無加工品)に対し、新型コロナウイルス液を滴下。
- 1,000lxの白色LED光源下に下記の5サンプルを所定時間設置した後に回収。
- ①「初期」
- 光触媒無加工品をサンプル作成直後に回収。
- ②「光触媒なし1h」
- 光触媒無加工品を白色LED光源下に1時間設置。
- ③「光触媒あり1h」
- 光触媒加工品を白色LED光源下に1時間設置。
- ④「光触媒なし2h」
- 光触媒無加工品を白色LED光源下に2時間設置。
- ⑤「光触媒あり2h」
- 光触媒加工品を白色LED光源下に2時間設置。
- 試験サンプルから抽出したウイルス液を細胞に接種し、TCID50法にてウイルス感染価を測定。

(左:試験ボックス、右:ウイルス感染価測定中)
結果
新型コロナウイルス感染価の減少効果
初期 | 経過時間 1h | 経過時間 2h | ||
---|---|---|---|---|
ウイルス感染価 (TCID50/mL) |
光触媒なし | 1.0 x 107 | 5.6 x 106 | 1.8 x 106 |
光触媒あり | 1.0 x 105 [98%以上] |
5.6 x 101 [99.99%以上] |
[ ] は光触媒無加工品(光触媒なし)と比較したウイルス感染価の減少率です。

島根大学医学部微生物学講座 吉山 裕規 教授のコメント
シャープの光触媒材料が、新型コロナウイルスに対して短時間で強力な抗ウイルス効果を発揮することが実証された。今回の結果から、実使用環境における抗ウイルス効果も期待できる。本効果は、光触媒作用によるタンパク質の構造破壊によりもたらされると考えられ、従来株のみならず変異株に対しても同様の効果を発揮すると思われる。光触媒は、作用し続けてもそれ自体は消耗せず、効果が持続することも強みであり、withコロナ、afterコロナ社会における応用が期待される。