シャープ複合機のはじまり
当社のチャレンジ精神が生んだ第一号複写機
シャープファックスSF-201
当社の第一号複写機SF-201が
複写機遺産に認定
当社が1972年に発売した第一号複写機「シャープファックス SF-201」がこのたび、一般社団法人日本画像学会が認定する複写機遺産に認定されました。「SF-201」は、間接静電気方式による湿式複写機で、低コストと使いやすさが好評を博した商品です。
当社独自の駆動方式を採用し、小型で比較的安価ながら、同価格帯のクラス最速の毎分10枚の複写を実現しました。本機前面には操作部や状態表示ランプ、枚数カウンタなども集約してユーザビリティを向上。中小企業や一般商店、学校などの事務作業の効率化推進に大きく寄与しました。
この点が複写機の普及に貢献したと評価され、今回の認定に至りました。
- 複写機遺産第14号
- シャープ シャープファックス SF-201
- 分類名
- 複写機本体
- 製造年
- 1972年
- 認定理由
- 低価格帯で性能と使いやすさを追求した湿式EF複写機
- 所在地
- 奈良県大和郡山市(シャープ株式会社 奈良事業所BS商談室)
複写機遺産とは
日本画像学会※が、日本における複写機産業の原動力となった初期の複写機の技術的、社会的功績を顕彰し、現存する歴史的複写機に搭載された技術の記憶を長く記憶にとどめ、後世に伝えるため、2018年にスタートした事業です。広く複写機関連技術・複写機関連工学に寄与したものを「複写機遺産」として日本画像学会が認定しています。
※一般社団法人日本画像学会(会長:藤井雅彦、事務局:東京都中野区)。
画像の基礎と応用に関する情報交流を行い、画像技術の進歩と発展を目指す技術者、研究者の集まりで、画像科学と技術およびこれらに関する分野の情報を交換、吸収するさまざまな場を提供しています。詳細については日本画像学会のウェブサイトをご覧ください。
SF-201の開発
総合エレクトロニクスメーカーをめざして
当社が、複写機の開発をスタートしたのは、1969年。当時、産業機器事業部では電卓が既に大きな飛躍の途にあり、電卓で開発した事務機販売店から「オフィスのOA化の訴求には電卓だけでは弱い。複写機も必要」との要望が高まっていました。
そこで、事務機器事業を当社における一つの柱に育て上げるため、複写機の開発をスタート。1970年には社名を「早川電機工業株式会社」から「シャープ株式会社」(Sharp Corporation)へ変更し、総合エレクトロニクスメーカーをめざして歩みを進めました。
シャープの第一号複写機の誕生
1969年、産業機器事業部開発部に計6名が集められ、1970年から複写機の開発がスタートしました。
経験の少ない技術者がほとんどでしたが、当時の社内はチャレンジ精神旺盛で、とにかくやろうという強い技術志向の風土がありました。メンバーたちは、学会などの情報をもとに、独学で電子写真について理解を深め、開発を進めました。
1972年1月6日、ついに「SF-201」の発売に至りました。
SF-201の特長
同価格帯クラス当時最速A4毎分10枚のコピースピード
この「SF-201」は、半導体の光導電性を利用した電子写真方式の中でもエレクトロファックス方式(EF)といわれる湿式複写機です。当時普及率の高かったジアゾ式と異なり、特有のアンモニア臭や変色、混色の心配がない優れた複写機と評価されていました。また、普通紙複写機はまだ一般的ではなく、湿式複写機は装置が簡単・小型・安価な点から事務機用の複写機として広く使用されていました。
原稿台の駆動にスプリングクラッチ機構による駆動方式を採用しコスト低減を図ったほか、乾燥ローラーに綿布ローラーを採用。さまざまな独自の工夫により、同価格帯クラス当時最速のA4毎分10枚のコピースピードを実現した「SF-201」は好評を博しました。
発売後4年間にわたって実に10種類ものシリーズモデルが発売されており、商品性の高さを物語っています。
使いやすさに配慮したさまざまな工夫
- 操作部は全て一カ所に集約
使いやすさに数々の工夫が施されているのも「SF-201」の特長でした。
操作部は、全て1か所に集約しており、非常に操作がしやすい複写機でした。
カセット式の自動給紙で、用紙がなくなればペーパー表示ランプが点灯。減算式のカウンター表示があり、20枚までの減算式で残数を表示するなど、誰もが使いやすい工夫が随所に施されていました。
初代機から現在へ
「SF-201」で取り入れた使いやすさの工夫や独自低コスト技術の搭載は、その後のシャープのドキュメント事業のものづくりに引き継がれています。
業界初、世界初の技術を搭載しながら、使いやすさや独自技術も追求。お客様のさまざまなニーズに応えた商品づくりを行っています。
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シャープ複合機のはじまり
1972年~1972年 SF-201
シャープの第一号複写機
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1974年 SF-710
- シャープ初の普通紙複写機
- IC制御回路
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業界初への挑戦
1980年~1981年 SF-750
- 当時世界最小・最軽量
- 全米シェアトップに
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複写機から複合機の時代へ
1990年~1992年 SF-2022
シャープ複写機20周年記念モデル
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環境対応と高性能の両立
2000年~2005年 MX-2700
- 環境対応と高性能の両立
- 現在の複合機の基盤を完成
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多彩なオフィスニーズに対応
2010年~2010年 MX-2610
直感的な操作が可能なタッチパネル対応10.1インチ大型カラー液晶を搭載
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スマートな働き方に貢献
2020年~2022年 BP-70C45シリーズ
ドキュメント事業50周年の歴史が生んだ最新モデル
現在の製品
参考文献
- 「シャープファックス SF-201」カタログ(1972年1月)
- シャープフラッシュニュース 47-1-10(1972年1月)
- シャープ技報 第11巻 第1号 通巻17号(1972年5月)
「電子複写機シャープファックスSF-201」 - シャープ技報 通巻97号(2008年5月)
「人生,ドキュメント」
「シャープ複写機開発ことはじめ」 - シャープ100年史「誠意と創意」の系譜(2012年6月)