eスポーツイベントは大きな企業が開催するものばかりではありません。
実はインフルエンサーが主催する、非企業によるイベントも沢山あるんです。
ゲームの知識、イベント運営の知識、参加者の集客など、開催するとなると敷居が高いように感じられるeスポーツイベントですが、多くのインフルエンサーがイベントを開催しています。

どんなイベントを開催しているのでしょうか。開催方法、規模、今後の展望について紹介していきます。

目次

  1. そもそも、個人でもeスポーツイベントを開催できる
  2. 大会開催までの手順、集客方法
  3. コロナ禍で盛り上がった非企業開催イベント
  4. 今後の展望

そもそも、個人でもeスポーツイベントを開催できる

ここでは、実際に定期開催されているイベントを紹介します。リアルイベントやオンラインで行われるもの、賞品の有無など様々です。

平日スマブラ対戦会「闘龍門」(スマッシュブラザーズSP)

主催者:takera氏(https://twitter.com/takeraketa
イベント情報:https://smashlog.games/189

「闘龍門」は2017年4月から開催されている非公式「スマッシュブラザーズSP」対戦会です。
「忍ism Gaming」所属プロであるtakera氏が主催しており、同じく「忍ism Gaming」所属プロのAbadango氏、「Thunder gaming」所属プロのRaito氏を筆頭に、ストリーマーのshogun氏、kishiru氏、kept氏など、プロアマ問わず多くの有名プレイヤーが運営に参加しています。

隔週水曜日に行われ、17:30 ~ 20:00はフリー対戦会、20:00 ~ 23:00はトーナメント形式に切り替わります。イベントスペースを貸し切って行われ、実況・解説付きでYouTube配信も行われます。トーナメント中にも、観戦だけでなく引き続きフリー対戦を楽しむことができます。

「平日ど真ん中に濃密な対戦を楽しむ」ことをコンセプトとしており、プレイヤー同士の交流が目的の方、強くなりたい方、大会前の調整をしたい方など、様々な目的の人が参加しています。
本気で上手くなりたいガチ勢と、楽しみたいカジュアル勢が同じ空間を共有することで、分断されがちな両陣営の交流の場となっているイベントです。

UG サブスクライバーカスタムマッチ (リーグ・オブ・レジェンド)

主催者:JapaneseKoreanUG(https://twitter.com/jpkr_ug
イベント情報:https://www.twitch.tv/videos/655259490

「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」の有名ストリーマーであるUG氏が定期開催しているオンラインイベントです。
UG氏のTwitchチャンネルの「サブスクライブ登録者」(課金視聴者)を対象に、カスタムマッチを開催しています。

「リーグ・オブ・レジェンド」内での実力を表す「ランク」を4レベルに分類してチーム分けを行い、実力が拮抗するようにカスタムされています。
UG氏自身は試合に参加せずに、参加者のプレイについてアドバイスを交えて実況・解説します。なので、観戦者は「リーグ・オブ・レジェンド」が上手くなりたいというユーザーが多いのが特徴です。

みしぇるんるん杯(PUBG MOBILE)

主催者:みしぇる氏(https://twitter.com/xMitcheI

ゲーム実況者のMitchel/みしぇる氏が主宰する「PUBG MOBILE」の大会です。

直近の大会では、200名の参加枠が埋まる大盛況。優勝者にはみしぇる氏から賞品(スポンサーであるShure社のワイヤレス・ノイズキャンセリング・ヘッドホン)が贈られました。Twitterでは優勝予想などのキャンペーンも実施され、予想が的中したユーザーにもプレゼントが贈られました。
大会は定期的に開催されており、40歳以上限定大会や女性限定大会など、特別編も開催されています。

大会開催までの手順、集客方法

一部のゲームタイトルではイベント開催の際に、知的財産の利用など、ゲーム運営会社への許可が必要となるものもあります。
また、参加者から参加料を徴収して賞金付きの大会を開くことは、賭博行為とみなされる可能性とリスクがあります。
権利や賞金については、大会・イベント開催前にあらかじめ関係団体に確認しておく必要があります。

イベントの集客については、特設サイトやTwitterにて行われることが多く、参加申し込みはイベント登録フォームやTwitterのダイレクトメールで行われています。
多くのフォロワーを持つ大会関係者(インフルエンサー)による拡散力が特に効果的で、彼らのTwitterアカウントからの拡散によって、周知・集客が行われています。
日程・ルールに関する情報や、急遽変更となった場合も、速報性・拡散性のあるTwitterにて告知されることが多いです。

コロナ禍で盛り上がった非企業開催イベント

新型コロナウイルス拡散防止のため、企業が開催するリアルイベントは中止、オンラインへの移行を余儀なくされました。
そんな中、小回りが利き、一定数のファンを抱えている個人によるイベント開催の需要が高まっています。
ゲームインフルエンサーによって、コロナ禍でも楽しめるイベント開催、コミュニティ作りが行われています。

荒野行動JUEGチャリティーカップ (荒野行動)

イベント情報:https://gameic.jp/knivesout-jueg-charitycup

「日本学生esports協会/Gameic(JUEG)」は6月6日、「荒野行動JUEGチャリティーカップ」(参加費無料)をオンラインで開催しました。新型コロナウイルスの影響を受けた人を支援するためのイベントとして催され、優勝チームには10万円の賞金が贈られました。

このイベントは、コロナ禍において「自分たちにできることはないか」と考えた日本全国の大学生が立ち上げた企画です。イベントで集まった資金はコロナ禍の最前線に立つ医療従事者や、苦しんでいる人たちのために寄付されました。

実況・解説は超無課金氏と芝刈り機〆危!氏が行い、公式アンバサダーにはさくにーと氏が就任しています。エントリーの開始と同時に「CAMP FIRE」でクラウドファンディングを実施し支援者を募集するとともに、各種基金に必要経費を除いた全額を寄付するほか、大会運営費はスポンサー料でまかなう形で運営されています。

サンダーデュエル会 (遊戯王 OCG)

イベント情報:https://discord.com/invite/MFfa7Mr

「遊戯王」をはじめとしたカードゲームを中心に配信を行っているグループ「サンダー カード&ホビーチャンネル」のサンダー氏、おっくん氏が主催する、対戦&交流用コミュニティです。

外出自粛が続く中、対戦相手を見つけることが難しいユーザーのために、コミュニケーションアプリ「Discord」で「遊戯王」対戦用グループを設立しました。

特徴としては、プレイスタンス(勝ちたいか、楽しみたいか)ごとに3つの分類を行い、部屋のセグメントを行っていることです。参加者はプレイスタイルを「自己紹介」にて申告することで、自分に合う対戦相手とマッチングします。

今後の展望

インフルエンサー主催のイベントの悩ましい点は、大規模化すればするほど、主催者と参加者の距離が遠くなってしまうことです。
個人のイベントに集まる参加者は、そのインフルエンサーのファンであり、インフルエンサーとの交流を目的にしている場合もあるからです。

また、小規模イベントが乱立することはマス層に対する訴求が難しくなる面もあります。商業的な観点としては、知る人ぞ知るアツいコミュニティが増えることと、多くの人に認知されている安定感のあるコミュニティのバランスをどうとっていくのかが課題になってくるでしょう。

インフルエンサー主催のイベントが増えることは、eスポーツ業界全体の盛り上がりに寄与することは間違いありません。
ゲームファンの多くは、ゲーム自体を楽しむだけでなく、そのコミュニティに属する仲間との交流も楽しみにしています。
ゲームに対する「楽しい」という感情は、やがて一緒にゲームをプレイする人たちにも広がっていきます。すると「ゲームをプレイしていなくても、その人たちと一緒にいるだけで楽しい」という状況が生まれ、かけがえのない関係性になることも多々あります。

スポーツ観戦や音楽ライブのように、人と人が繋がるための1つの方法としてeスポーツイベントは発展してきました。小さなイベント、大きなイベントがともに多く開催されることで、ユーザーは幅広い選択肢の中から参加したいイベントを選べるようになってくるでしょう。

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