麻倉怜士氏 Interview

クアトロン誕生、そしてこれから――AQUOSの未来とは

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クアトロン、多原色化の効果

精細さ、コントラスト、階調性、そして色と、 画質には多くのポイントがあります。「XS1」は、RGB3色のLEDを採用して色の再現性を高めました。しかし、コストが嵩む。そこでLEDは白色だけにして、カラーフィルターに付加価値を与えて「多原色化」する技術に取り組みます。「クアトロン」で加えたのは、従来のRGB(赤・緑・青)3色の他に、Y(黄)。黄色が追加され黄色の再現性が高まるのはもちろんですが、トータルで色が良くなったことに感心しました。コマーシャルに出てきたような黄色のひまわりやツタンカーメンの金色は、これまでテレビで見たことがない再現でした。さらに、シアン(青)もきれいになり、夏の海と空などは、眼前で見るかのような臨場感で映し出されています。

AQUOSのさらなる進化

この10年間を振り返ると、大画面化、フルハイビジョン化、画質の向上、LEDの採用、亀山工場での自動生産ラインなど、まさにイノベーションの連続でした。これは、シャープが、基礎技術からパネルづくり、テレビ設計に至るまでのすべてを社内で一貫して行う「垂直統合」の流れをつくったから可能になったことだと思います。シャープは継続的にじっくりテーマを追いかけるメーカーで、液晶分野に深くアプローチしてきたことが、ここにきて集中して花開いています。
誕生から10年経ちましたが、これは“一里塚”にすぎません。液晶はさらに進化して、コンテンツとユーザーを結ぶ絆を深めるでしょう。今後の注目は、高精細化です。2011年にシャープは、世界で初めて従来の投影型ではなく直視型のスーパーハイビジョン(8K4K)のディスプレイを開発しました。より強い臨場感と大きな感動を見る人に与え、劇的な体験ができるスーパーハイビジョン。シャープがいち早く開発できたことで、改めて垂直統合の力をまざまざと見せつけましたね。これからも液晶という又とないリソースに多彩な切り口から、さらに高い次元からアプローチが行われることを熱く期待しています。